「リスク確率論 軽視の代償」という経済解説記事が7月31日付の日本経済新聞に掲載された。このなかで、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のラスムッセン教授(1927~2003)が原発事故の発生する確率をはじき出し、報告書を提出した話が紹介されている。もう少し詳しく知りたくなりインターネットのお世話になった。ウィキペディアによると、教授は、原発事故の確立を1基当たり10億年に1回と予測し、「ヤンキースタジアムに隕石が落下するのを心配するようなもの」と解説したそうだ。
原発の「安全神話」の根拠となったのが確率論である。ところが、大きな事故だけでも、この30年ほどの間に既に3件発生している。1979年のスリーマイル島、1986年のチェルノブイリ、そして福島第一である。地球が誕生してから、46億年だから勘定は合っているのかもしれないが、ちょっと納得がいかない。実は、ラスムッセン教授は、「原発でも飛行機でも事故の確率は、いくら対策を尽くしても『0%』にはならない」と最初から認めていた。
統計で成り立っている保険と長くかかわりながら、「確率なんてものは元々信じていない」と言うと叱られそうだが、確率ほどアテにならないものはない。保険屋には、そうした実体験が多すぎるのだ。
Insurance Company of North Americaの東京支店に在籍していた頃、たった1年の間に同じ契約者が3件の火災事故を起こしたことがあった。保険金目当ての放火事件などではない。災難に遭ったのは、都内の有名な和菓子屋さん。最初は本店の製造施設内でのボヤ騒ぎ。大事には至らなかった。続いて埼玉県の大宮、そして浦和と、立て続けに支店が全焼した。この2カ所がもらい火であったことも、事件性を否定している。
1年間に6件もの航空機事故が起こったこともある。1966年だ。空の「安全神話」が覆されるような1年だった。376人の尊い命が失われた。記憶されている読者も多いだろう。
2月4日 全日空 羽田沖墜落 死者133人
3月4日 カナダ太平洋航空 羽田空港着陸ミス 死者64人
3月5日 英国海外航空 富士山上空で空中分解 死者124人
8月26日 日本航空 羽田空港で訓練中離陸直後に墜落 死者5人
9月18日 全日空 鹿児島空港でオーバーラン 軽傷者1人
11月13日 全日空 松山沖で墜落 死者50人
建賠に2日間で3件報告された事故とは
事故の深刻さはいささか異なるが、建設業賠償保険でも確率論を疑いたくなるような体験をした。2010年初夏の出来事である。調理場における蒸気の処理機能不足の事故が、2日間で3件報告されたのである。所在地も設計ミスを指摘された建築士事務所も、すべて異なる。給食センター、成餡工場そしてレストランで事故は起こった。確率論もへったくれもない不思議の世界だ。
1985年8月に起こった御巣鷹山の日本航空墜落事故から26年が過ぎた。機体の大型化によって、犠牲者の数は、1966年の6件の事故の合計数字を大きく上回ってしまった。それでも、飛行機は許されて飛び続けている。それも事故の直後から…。原発を同じ感覚で稼動することが、果たして許されるのであろうか?いずれの事故の背景にも、科学の進歩と経済性優先によるひずみが存在するように感じる。だが、そのように片付けてしまうには、あまりにも痛ましい事故ばかりである。
寺田寅彦は「災難は忘れたころにやってくる」との名言を残した。そして、災難はいつ我が身に起こるかもしれないのだ。自らのミスによって、他人の身にそのような災いを起すようなことは、決してあってはならない。万が一の事態、それが1万回目に起こるのか、明日起こるのか、それを予測することはできない。だからこそ賠償責任保険が必要なのだ。その上で、保険を使うような事態を、徹底的に排除しなければならない。
しょせん人間の達成できる安全性は、確率論という数字のマジックで覆い隠さなければ説明できないようなものだ。絶対に安全でなければならないものに対しては、安全率などというものは、まったくと言っていいほど意味をなさない。そこへ経済性などという尺度を持ち出して、てんびんに掛けるなどは論外である。せめて建築物については、経済性優先の確率論など持ち出すことなしに、プロの責任において、安全・安心の確保をお願いしたい。
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