清水建設は、乾燥収縮と温度応力で発生するひび割れを低減するコンクリート「クラレスクリート」を初採用した現場で、コンクリートのひび割れ発生数を約80%減らした。土木構造物の耐久性や水密性を向上できるとして、同社は今後、クラレスクリートの採用拡大を目指す。
クラレスクリートは、尿素の混入によってひび割れを抑制するコンクリートだ。岡山大学の技術指導で清水建設が2009年に開発した。開発時の実験と実際の施工で、コンクリート1m3当たり約20~30kgの尿素をコンクリート製造時に投入すれば、乾燥収縮と温度応力によるひずみを約30%低減できることを確認。1m3当たりの製造単価は、普通コンクリートの単価よりも2000円ほど高い。
尿素には、水に溶解する際に吸熱し、溶解すると水の蒸発を抑制する特性がある。乾燥収縮は、コンクリート中の水の蒸発が原因。温度応力は、セメントと水の化学反応による発熱(水和熱)が原因だ。尿素をコンクリートに加えることで水の蒸発と発熱を抑えられるので、ひび割れを低減できる。
クラレスクリートは、JR九州が発注した「大分高架駅部BL新設他6工事」(大分市)で採用した。この工事は、大分県を事業主体とする「大分駅付近連続立体交差事業」の一環。清水建設・九鉄工業・梅林建設JVが施工する。工期は09年10月~11年6月。清水建設は、駅部の高架化を09年から請け負っている。高架橋の規模は、施工延長420m、幅10~34m、高さ8mだ。
全9工区、約5200m3のコンクリートのうちの1工区、456m3にクラレスクリートを採用。10年9月に打設して、ひび割れ実測調査をした。その結果、普通コンクリートを打設した部位と比べ、クラレスクリートの打設部位には顕著なひび割れが発生しておらず、ひび割れ発生数は約80%低減していることが分かった。
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