ダンピング阻止に自治体の役割大 / 建設通信新聞

国土交通省の佐々木基官房建設流通政策審議官は、日刊建設通信新聞社などと懇談し、公共調達のあり方などについて考え方を語った。「いまの状況では、まずダンピング(過度な安値受注)を止める必要がある。特に地方公共団体の役割が非常に大きいだろう。目的は何かを明確にして、そのために何が必要かを考えたい」との考えを示した。

                  
 公共調達については、超党派で構成する公共調達適正化研究会が、改革法案をまとめるよう要請するなど議論が起きている。こうした動きについて、「良いものであれば必ずしも予定価格の束縛に完全に支配されることはないのではないかなど、いろいろな考え方があり、こうすべきというのは難しい」と前置きしつつ「いまの状況では、少なくともダンピングを止めるため、業界の努力と合わせ、発注者がどういう入札制度にするか考えなければならない。特に地方公共団体の役割が非常に大きいと思う。今後、抜本的に部分の議論が出る可能性がある。目的を明確にし、そのために何が必要かを考えたい」とした。

                      
 各分野で議論が起きている環太平洋経済連携協定(TPP)における建設業については、「情報も限定的で、さまざまな話がある。現時点ではまったくニュートラル(中立)だ。でも、国内の地場企業が成り立たなくなるなら、それは問題だろう。今後の交渉の行方を見ながら考えたい」と現在の立ち位置を説明した。
 『再生と発展の方策2011』の具体化は、「除雪期の到来前に地域維持型JVの準則を改正した。地方公共団体が使えるなら使ってほしい。保険の未加入は、若年層の入職という新陳代謝ができなければ建設業は再生しない。普通の産業の普通の企業になるための一つの条件が保険未加入対策だろう。難しい部分があるかも知れないが、絶対にやらなければならない」と、実現に向けて全力を挙げる姿勢を示した。

                 
 中堅企業に対しては「強い不安を抱え、悩んでいることは分かる。ただ、行政が進む方向を示すのではなく、まず中堅企業としての企業戦略を考えなければならないと思う」との考えだ。
 海外展開支援については、「企業の規模はあまり関係がない。技術、技能がある中小企業が海外展開しようと思えばその余地はあるだろう。専門工事業などで極めて限定的な技術を持っているような企業は出て行っている」と、中小でも海外進出を望む企業には積極的に支援する考えを示した。

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