帰宅して、郵便受けを覗いてみると、新聞や手紙、通知物のほかにも、「不要なお知らせ」で溢れかえっているのを見ることが多くなった。
それは、宣伝目的のDM(ダイレクトメール)かもしれない。あるいは、郵便受けに直接投函されたチラシだろうか。今回は、無断で投函されたチラシをめぐる法律問題について考えてみたい。
業者が勝手にチラシを郵便受けに入れる行為は、犯罪として取り締まりを受けることはないのだろうか。
「公道に面した場所に投入口がある郵便受けはともかく、マンションや寮など、建物内に置かれている郵便受けへチラシを入れる行為は、管理人が承諾していない限り、住居侵入罪になりえます」と話すのは、宮本督弁護士。
住居侵入罪の対象は、日常生活に使う住まいとしての私的な空間だけではない。壁や囲いなどで区切られていれば、マンションのような集合住宅の共用部分へ勝手に立ち入ることも「侵入」になりうる、というのが最高裁判所の判例である。
ちなみに、敷地の周りの塀を上り始めただけでも、住居(建造物)侵入罪に該当するという最高裁判決が7月に出たばかり。その意外性が話題を集めた。
マンションの郵便受けは、多くの場合、管理された共用部分に置かれている。したがって、チラシを投函するには「侵入」するしかないといえる。
そもそも、どうして住居や建造物への侵入が処罰されるのか。宮本弁護士によると、考え方は2種類あるという。
ひとつは、侵入によって、住居などの「平穏」が害されるという考え方。私的な生活や営業活動などが脅かされる危険を防ぐための罰則だという位置づけだ。ただし、この説によると、平穏を害さず、そっと静かに入るのなら、侵入罪が成立しないという結論となりかねない。
一方、裁判実務で主流の考え方は、住居の住人や建造物の管理者の「立ち入りを禁止する」という意思を無視して立ち入るから、住居侵入は処罰されるというものだ。「関係者以外立入禁止」などの看板を掲げずとも、他人の立ち入りを容認しない意思は合理的に判断されうる。
宮本弁護士によれば、最初から商品を万引するつもりで、客を装ってコンビニの店内に入れば、もうその時点で建造物侵入罪が成立するのだという。なぜなら「万引目的の者、立入禁止」という、コンビニ店舗のオーナー(建造物管理者)の意思が推認でき、その意思に反した立ち入りが行われたからだ。
もっとも、万引目的でコンビニに足を踏み入れただけで建造物侵入罪が成立するとしても、実際の検挙はほぼ不可能である。万引に使う専用の道具などを持っていれば別だろうが、ふつうは「万引目的」という心の中を客観的に証明することは困難。よって、盗んだ商品を隠し持って店外へ出ようとした段階で、窃盗罪と併せて立件されるのが通例だ。
また、「戦前には、亭主(家父長)のみが住居権を握っていたため、妻が浮気相手を家に連れ込んだ場合は、浮気相手が住居侵入罪に問われた事例もあります」(宮本弁護士)。
現代では、妻や子にも自宅の住居権が認められるため、こうした結論にはならないが、侵入罪ひとつとっても、社会の価値観の変遷が感じられ、興味深い。
現実には、チラシ配りの担当者が、実際に住居侵入罪で検挙されたという話はあまり聞かない。「検察官には、犯罪の性質や軽重等の諸事情を総合的に勘案したうえで、被疑者を『起訴猶予』とする裁量が認められています。広告宣伝目的のチラシ投函行為は、起訴猶予か、警察段階で微罪処分とされ、放免される可能性が高いです。押し売りなどの目的でマンションに入ったことで起訴された事例はありますが」(同)。
不要なチラシは、現実的には、そのつど自分で処分するほかないようだ。
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