パナソニックは2010年度の経営方針を発表した。重点事業を「エナジーシステム」「冷熱コンディショニング」「ネットワークAV」「セキュリティ」「ヘルスケア」「LED」の6グループに決めた。中でも、今後の中核事業になると位置付けるのがエナジーシステム事業だ。太陽電池や燃料電池、2次電池、エネルギー管理システムなどで構成する。パナソニックは、2009年12月に三洋電機の子会社化を完了した。三洋電機の持つ太陽電池や2次電池などの強みを生かし、エナジーシステム事業を拡大する計画だ。
営業利益を10%以上に
パナソニックの2009年度の売上高(三洋電機除く)は7兆円とする。2018年度には中核となるエナジーシステム事業で3兆円以上、全体で10兆円以上の売上高を実現する。売上高の増加よりも、営業利益率の向上を狙う。2009年に1.7%の営業利益率を10%以上に高めることを目標に定める。
重点事業6グループのうち、現段階から近い将来の牽引役と位置付けるのが、エナジーシステムと冷熱コンディショニング、ネットワークAVの3グループである。2009年時点では、薄型テレビなどのネットワークAV事業や、エアコンや空気清浄機、業務用の冷蔵・冷凍ショーケースといった冷熱コンディショニングが全社の柱となっている。この体制から2018年度にかけて、徐々にエナジーシステムへ重心を移す。
Liイオン2次電池でシェア40%以上
エナジーシステムのうち、市場規模の拡大に合わせて成長を狙うのが、太陽電池やLiイオン2次電池、スマート・グリッドなどのエネルギー管理システム、電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)などのエコ・カー関連の製品である。例えばLiイオン2次電池の市場規模は金額ベースで2015年度は2009年度比2.7倍に伸びると推定しており、売上高1兆円、シェア40%以上を目指す。「現在でもパナソニックと三洋電機を合わせるとシェア1位になるが、占有率は35%に過ぎない。未開拓の65%を視野に、コラボレーションを強化する」(パナソニック 代表取締役社長の大坪 文雄氏)。
このエナジーシステム事業の強化には各種家電製品が寄与するという。家電製品は、現在、単品で販売されているが、今後はエネルギー管理システムの構成要素として位置づける。太陽電池などの創エネと2次電池による蓄エネだけでなく、家電などの機器による省エネまで組み合わせて制御することで全体としてのエネルギー効率を高める「『家・ビルまるごとエコ』は他社にマネできない事業」(大坪氏)として、各種家電製品や業務用機器などを持っていることが競合他社に対して大きな差異化の要因になるとする。
その次の3グループ
重点事業6グループのうち、2018年度以降の次世代の中核に育てようとするのが、セキュリティとLED、ヘルスケアの3グループである。セキュリティについては施工やサービスも含めたソリューション・ビジネスとして、海外市場の攻略を目指す。市場が急速に拡大するLEDでは、すべて自前でそろえることにはこだわらず、「スピーディにグローバル展開を推進する」(大坪氏)方針を強調した。ヘルスケアについては浄水器、健康家電から、バイオ関連の検査装置まで、現在展開している幅広い製品を生かして事業拡大を狙う。
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