下請取引-法令順守の元請は1・7% / 建設工業新聞

国土交通省は26日、10年度の下請取引等実態調査の結果を発表した。工事を下請に発注したことのある建設業者(1万7285業者)のうち、建設業法上の指導を行う必要がなかった業者(適正回答企業)は1・7%の287業者にとどまり、大半の業者に何らかの違反が認められた。国交省は業法違反の疑義が認められる建設業者に対して29日に指導票を送付。法令違反が著しい業者には立ち入り調査などを行い、是正指導を徹底する。
 調査は、下請取引の適正化を図る目的で毎年度実施。今回は全国から無作為抽出した2万7579許可業者(大臣特定1683、大臣一般1242、知事特定7984、知事一般1万6670)を対象に書面調査を7~8月に行い、2万2753業者(回答率82・5%)から回答を得た。
 主な調査項目は、▽下請契約金額の決定方法▽見積もりを依頼する際に提示している内容▽書面による契約締結▽契約書で定めるべき条項をすべて規定いるかどうか▽契約締結時期▽追加・変更契約時の契約締結の実施の有無▽注文者の支払を受けてから下請代金支払までの期間▽手形期間-など。このうち「見積もりを依頼する際に提示している内容」については適正と回答した業者が全体の10・5%(昨年は64・6%)と特に低かったが、国交省は昨年と比べ質問内容を変更したことが影響しているとみている。
 調査結果によると、指導の必要がなかった業者の割合は大臣特定許可業者が最も高かったが、それでも8・9%にとどまり、大臣一般が2・8%、知事特定が1・6%、知事一般が0・4%と低調だった。下請工事を請け負った経験のある1万6918業者のうち、元請から「不当なしわ寄せを受けたことがある」または「しわ寄せを受けた工事を知っている」と回答したのは1723業者(10・2%)。資本金規模の小さい企業ほどその割合が高かった。しわ寄せの内容では「追加・変更契約の締結拒否」(17・7%)が最も多く、続いて「下請代金の支払い保留」が15・9%、「やり直し工事を強いられた」が13・5%の順だった。

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