海江田万里経済産業相は28日の閣議後記者会見で、今後の中小企業の資金繰り支援策を公表した。リーマン・ショック後の2008年10月に導入、適用基準を一時的に緩和して民間金融機関融資の全額を保証する「緊急保証制度」が期限切れとなる4月以降も、建設業など48業種を対象に、9月末までの6カ月間は全額保証を継続する。また、政府系金融機関による直接貸付も拡充する。海江田経産相は、これらの対応によって「中小企業の資金繰りに万全を期したい」と述べた。
政府は経営が厳しい中小企業が民間金融機関から融資を受ける際に、一定の基準を満たせばその返済を国が全額保証するセーフティーネット制度を設けている。現在はこの制度の適用基準を緩め、82業種を対象に「景気対応緊急保証制度」を実施している。
3月末で景気対応緊急保証制度が期限切れになると、対象は20業種程度に減る見込みとなっていた。このため、売上げの減少幅が適用基準を満たす業種は、継続して制度を利用できるようにした。これに加え、直近の売上げが増加傾向にあっても、リーマン・ショック前との比較で10%以上落ち込んでいる業種も対象に含めることにした。その結果、48業種については9月末まで全額保証が継続する。
48業種の中には、「総合工事業」「設備工事業を除く職別工事業」「設備工事業」の建設業3業種のほか、「窯業・土石製品製造業」「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」「廃棄物処理業」などが含まれている。制度の継続により、4月以降も現行対象業種の約6割、保証承諾実績ベースでは「利用の多い建設業が入っているので約7割がカバーされる」(海江田経産相)という。リーマン・ショック後の緊急保証制度から現在の景気対応緊急保証制度の累計利用実績では「建設業が全体の約25%を占めている」(経済産業省中小企業庁)。
政府は中小企業融資の保証制度をめぐり、原則すべての業種を対象にしている景気対応緊急保証制度を3月末に打ち切ることを決めていた。ただ、依然として厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りに悪影響が出る恐れがあるという指摘を受け、4月以降の対応を検討していた。
このほかの支援策は、小規模企業向け小口保証制度の全額保証、政府系金融機関による資本性劣後ローンの事業規模拡大などとなっている。
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