国土交通省は5日、東日本大震災の被災地域内で運用している主任技術者の兼任要件の緩和を全国の工事に拡大する方針を固め、都道府県や建設業関連100団体などに通知した。国の直轄工事を始め、全国の自治体発注の工事を対象に5㎞程度の近接した場所であることなどを要件に2件程度の兼務を認める。これにより、公共事業の迅速・円滑な施工確保に向けた対応策計7事項のうち3事項が正式に通知された。残りの対応事項については詳細がまとまり次第、通知する考え。
5日の通知では工作物に一体性、連続性が認められる場合や、工事の発生土を盛土材に流用するといった相互に調整する全国の工事を対象に現場相互の間隔が5㎞程度であれば同一の専任の主任技術者が工事を管理できるとし、原則、2件程度の兼務を認める。
また、通知に合わせて過去に通知した現場代理人の常駐義務の緩和(2011年11月)と、主任または監理技術者の専任を必要としない期間の明確化(09年6月)についても改めて周知した。
発注者は、現場代理人の工事現場における運営や取り締まり、権限の行使に支障がなく、発注者との連絡体制が確保されていれば、代理人の常駐が必要ないと判断できる。また、主任あるいは監理技術者の専任を必要としない期間は、▽工事着手まで▽全面的に工事を中止▽工場製作のみ▽後片付け--の各期間となる。
今回の措置は政府方針の12年度補正予算と13年度予算を一体的に執行する「15カ月予算」で、膨大な量の公共事業が発注されることに備えた対応で、全国の公共事業の迅速かつ円滑な施工確保に向けた3分野計7事項の対策の1つ
1月には、総合評価落札方式の提出書類の簡素化といった入札契約手続き期間の短縮を始め、WTO(世界貿易機関)対象工事を除く大規模な工事のうち、難易度の低い大規模な工事には中小建設企業の入札参加も認めることを各地方整備局などに通知した。
今後は、地方自治体に対してダンピング(過度な安値受注)対策の徹底を要請するほか、被災地で運用している遠隔地から職人や資材を調達した場合への対応も全国に拡大していくための取り扱いを通知する予定だ。
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