2011年度第3次補正予算が11月21日に成立し、住宅エコポイントの再開が決まった。新築は11年10月21日、リフォームは同年11月21日の各着工分からポイント発行の対象となる。着工時期の期限はどちらも12年10月31日の予定。
省エネ基準に適合する新築住宅(エコ住宅)と、省エネ性能を向上させるリフォーム工事(エコリフォーム)にポイントを発行する制度の基本は変わらない。新制度では新たに、耐震改修とリフォーム瑕疵保険への加入でポイントが加算されるようになった。耐震改修が15万ポイント、瑕疵保険加入が1万ポイントだ。
エコリフォームの発行ポイント数の上限は前回と同様、同時に行うバリアフリー工事などを含めて30万ポイントだ。同時に耐震改修を行うと上限が45万ポイントとなる。地方自治体の耐震改修補助制度との併用も可能だ。
耐震改修でポイントの発行を申請する手続きについて、国土交通省住宅生産課の田中政幸さんは11年10月末に、「耐震改修で税額の控除を受けられる既存の制度では、手続きの書類として耐震改修証明書が必要。改修の依頼者が依頼先の建築士などに作成してもらう文書だ。住宅エコポイントでも同様の証明書を申請書類に加える方向で検討中」と述べた。
エコポイントの制度で同証明書を発行できるのは、建築士事務所か登録住宅性能機関となる見込みだ。リフォームを手掛けた建築士事務所が自ら発行してもよい。
新築への発行は半減
新築住宅へのポイント数は、政府が指定した東日本大震災の「特定被災区域」では前回と同じ30万ポイントだが、それ以外の地域では半減して15万ポイントとなる。特定被災区域は岩手・宮城・福島県の全域と、青森、茨城、栃木、埼玉、千葉、新潟、長野の各一部市町村だ。
政府は今回のエコポイント再開を被災地復興の支援策の一環と位置付けている。ポイントと交換できる商品は、省エネや環境への配慮と関連があるものと被災地で生産されたものに限定する。追加工事の費用として即時交換に使えるポイント数は、以前は取得したポイントの全部でもよかったが、新制度では半分までとなる。
フラット35に「35Sエコ」が誕生
第3次補正予算には住宅金融支援機構の「フラット35Sエコ」の新設もある。新築の場合、既存のフラット35Sが省エネ、耐震、バリアフリー、耐久・可変の各性能のどれか1種類以上で基準を満たせばよいのに対し、35Sエコは省エネ性能でトップランナー基準か次世代省エネ基準を満たすのを必須として金利をより低くする。
「フラット35Sエコ」の概要は下の表の通りだ。住宅エコポイントと同様に特定被災区域の住宅を優遇する。「35Sエコ」の要件を満たす新築住宅はエコポイントの発行対象にもなる。
申し込みの受付期間は2012年10月31日までの予定。11年12月1日以降に資金を受け取る住宅購入者に適用される。
なお、国交省は2012年度予算の概算要求では、中古住宅の購入とリフォームをセットにした新しいタイプのフラット35を新設する方針を示している。 新築住宅の省エネ化、2020年までに義務化の見通し
現時点では優遇措置がある住宅の省エネ化が、近い将来、義務として求められることになりそうだ。
国交・経産・環境の3省が合同で設置した「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」は10年11月、住宅を含むすべての新築建物に20年までに省エネ化を義務付ける方針を公表していた。義務となる省エネ基準の方向性は、その時点では11年夏頃に固まる見込みだった。しかし東日本大震災の発生で会議は中断した。
11年10月31日、約1年ぶりに開いた同会議は、震災の電力不足問題を踏まえて住宅の省エネ化の必要性を改めて強調。次世代省エネ基準以上の省エネ性能を持つ東北地方の住宅では、暖房が止まっても室温が15℃程度に保たれたという調査結果などを明らかにした。そのうえで、20年までに省エネ基準への適合を義務化する方針を改めて打ち出した。
国交省は義務となる省エネ基準の案を、住宅については12年度の早期に、住宅以外の建物については11年度中に公表する見込みだ。同省住宅生産課の担当者は、「次世代省エネ基準よりやや低いレベルになりそうだ」と話す。この基準の他に、より高レベルの「誘導基準」も定めて、省エネに積極的な住宅会社には任意での適合を勧める方針だ。
一方、既存住宅の省エネ化を義務にする動きは現時点ではないものの、同会議で公表された政府の方針には、「既存ストックの省エネ改修の促進」も加えられた。
<訂正>初出時、フラット35Sエコの申し込み受け付けの終了予定年が「2011年12年」となっていましたが、「2012年」に訂正いたしました。(2011年11月25日13時38分)
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