個人請負型就業者の保護政策強化 守るべき事項などで指針 厚労省 / 建設通信

厚生労働省は、「一人親方」を含む個人請負型就業者の保護政策を強化する方針を固めた。求人情報の掲載基準を示すガイドラインの作成や、企業が一人親方などを活用する場合に守るべき事項、注意点を示したガイドラインの制定を打ち出した。また、トラブルが起きた際、雇用労働者と同じ労働法規で保護を受けられる「労働者性」の有無の判断に応じる相談窓口の情報発信充実などにも取り組む。

 個人請負型就業者の保護策は、4日に開いた「個人請負型就業者に関する研究会」に、これまでの議論を踏まえてまとめる報告書のたたき台として厚労省が提示した。研究会は今月末にも開催し、報告書を策定する。

 個人請負型就業者は、基本的に各種労働法による保護を受けることはできない。ただ、近年は個人請負型就業者が増加、実態として雇用労働と変わらないケースや自営であるものの雇用労働に近い実態を持つ働き方をする者が存在していることから、適切な措置を講じる必要性が指摘されていた。厚労省は研究会を設け、今後の施策の方向性について検討を重ねてきた。

 報告書のたたき台によると、「企業との間に、立場から生じる交渉力の差が生じる場合があり、何らかの保護措置を設けることが適当」とした。また、労働者性があると考えられる個人請負型就業者は「労働者として保護されることが適当」としている。

 求人情報掲載基準ガイドラインには、▽報酬や契約期間、就業時間、就業場所、費用負担、違約金など必ず記載すべき事項を定める▽労働法適用の有無を掲載▽雇用か業務委託・請負かを明示――などを盛り込むことが考えられるとした。作成に当たっては行政と求人情報業界との連携を求めている。

 企業が守るべきガイドラインでは、▽報酬や契約期間、違約金・契約変更についての取り決め、個人情報の保護など契約時に明示する事項▽書面での契約▽一定期間書面を保存▽契約内容の順守▽報酬や支払期日の設定など契約の適正化事項――などを定めることを想定している。

 労働者性の判断基準は一定の見解があるものの、個人請負型就業者や企業にとって実際の判断では「分かりにくい」との声がある。このため、個人請負型就業者が多い業種ごとに判断しやすいよう工夫することが有効と提案した。

 また、トラブルが起きた際の相談窓口が分からないことがないように、利用可能な相談窓口や各種制度について行政が情報を発信し、周知していくことを求めている。

 厚労省はこうした取り組みを進めることによって、求人時や契約履行上、事故被害などのトラブルを未然に防ぐようにする。

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