国土交通省は、建設産業戦略会議がまとめた提言『建設産業の再生と発展のための方策2011』を踏まえ、中央建設業審議会総会を27日に開催し、入札契約適正化指針などを審議する。同指針を改正し、「地域維持型JV」や「段階選抜方式」の導入、ダンピング(過度な安値受注)対策の強化などを盛り込む見込み。指針が改正されれば、新制度の導入などに向けた取り組みが本格的に始まる。
提言では、災害対応や除雪、維持管理といった地域維持のための事業を複数年一括契約で発注し、「地域維持型JV」を創設して地域の建設業が共同で受注できる仕組みを整えることが盛り込まれた。また、入札契約制度の改革へ地方公共団体によるダンピング対策の強化や段階選抜方式の活用、地域企業の適切な活用、受発注者双方を対象とした「建設業法令遵守ガイドライン」の策定なども示した。
ダンピング対策の強化では、「低入札価格制度における数値的失格判断基準の設定が必要」としているほか、予定価格の事前公表の取りやめなどを求めている。段階選抜方式は、WTO(世界貿易機関)対象工事などにおいて、競争参加者が急増していることを受け、入札の第1段階で競争参加希望者を5者程度に簡易な技術審査で絞り込み、第2段階で通常の価格と詳細な技術審査による総合評価方式で入札する仕組み。
公共工事の入札・契約については、2000年に公布された「公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律」(入札契約適正化法)に基づいて国交相、総務相、財務相が共同で案を作成する入札契約適正化指針で取り組むべき内容を示している。指針の内容は国、特殊法人、地方公共団体など発注者全体の「努力義務」。
今回、指針を改正して提言に盛り込まれた新制度導入や入札契約制度改革の内容を盛り込む見込み。中央建設業審議会による審議を経て、閣議で決定する手続きが必要になる。指針が改正されれば、新制度導入に向けた具体的な制度設計の提示などに向けた手続きに入るとみられる。
提言で提示した保険未加入企業の排除や技術者データベースの整備などほかの対策についても、今後、順次、具体化を図る考えだ。
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