内窓 騒音をどの程度遮れるのか / 日経BP

住宅エコポイントの対象として注目を集めている内窓。見た目の違いだけでなく、使用感の違いなどもあるのだろうか。日経ホームビルダーは、コラム「とことん実証! 建材・設備」で、内窓の施工性やデザイン、性能などを検証し、各製品の違いを探った。

 最終回のテーマは、「遮音性」。室外の音がどの程度遮音できるのか、また、室内の音はどうかを検証した。7製品それぞれについての分析結果をお届けする。詳細は、日経ホームビルダー2010年7月号の「とことん実証!」でレポートしているので参考にしてほしい。

室内側、室外側それぞれ窓から80cm離した位置に三脚を立て、騒音計を設置。「室外の騒音をどの程度防げるか」「室内で再生した音楽の音をどれくらい外に漏らさないようにできるか」について実験した(写真:澤田聖司)

 幹線道路や線路などに近接していたり、室内でペットを飼っていたりする住まい手など、遮音性を期待して内窓を取り付けるケースも少なくない。メーカーのカタログには「騒音を40~45dB(デシベル)ほどカットできるT-4等級の遮音性」という文言をよく見受けるが、実験室でのデータが前提。そこで、「室外の音をどれだけ防げるか」「室内の音が外に漏れないか」の2種類の遮音性を検証した。メーカーによって遮音性にどれくらいの差があるのだろうか。

 実験の結果は下の図の通りだ。室外はトラックやバスなど車の往来が途絶えない道路が近く、騒音計の数値は40~60dBを示していた。外窓と内窓の両方を閉めて室内を計測したところ、25~36dBと深夜の郊外並になった。外窓だけを閉めた場合の室内は28~47dBで、静かな図書館程度だったことと比較すると、一定の遮音効果はあったと考えられる。製品間の差はあまり見られなかった。

実験現場は、片側1車線の道路から少し入った住宅街。鉄骨造4階建ての社員寮で、2階部分の1室を使った。木造住宅とは異なり、既存の外窓の気密性が高かったため、外窓を閉めただけでも、室外の騒音は28~47dB程度に抑えられた。実験の最中は、玄関と室内のドアを閉めて、極力室外の音が入らないようにした(資料:日経ホームビルダー)

 

 一方、室内で80~87dBと大きな音で音楽を再生してみたところ、外窓と内窓の両方を閉めた場合、遮音効果が確認できた。室外のバルコニーに設置した騒音計は、45~60dBの値を示し、外窓だけを閉めた状態の測定値である50~65dBを下回った(下の図を参照)。

 バルコニーで音漏れを確認していたスタッフの1人は、「低い音は内窓を閉めても聞こえたが、ボーカルの声は小さくなったように感じた」と言う。バルコニーでの測定結果は周囲の車の交通音(40~60dB)とほぼ変わらないことから、周囲には音漏れが気にならない程度になっていたと考えられる。こちらも、製品間の差は少なかった。

室内の音がどれくらい外へ漏れるかを測定する実験では、音楽を80~87dB程度の大きな音量で再生して試した。スピーカーは窓と水平に、戸境壁に向ける状態で設置。騒音計が直接スピーカーの音を測定しないようにした。使用した音楽は、ザ・ビートルズの「デイ・トリッパー」。冒頭の約1分間をモノラルで再生した(資料:日経ホームビルダー)

 ただし、安易に「内窓で騒音を防げます」と住まい手に勧めてしまうとトラブルになりかねない。遮音効果を見込みにくい周波数の音や、建物の躯体を伝わってくる音、換気扇といった開口部から伝わる音などが原因となり、完全には騒音を防げないからだ。

 また、内窓のガラスの組み合わせによっても遮音性の効果は異なる。住まい手がどれくらい遮音性を気にしているか、断熱性と遮音性のどちらを重視しているかなどを見極めたうえで、製品の提案をしたい。

 実験の概要

現場での施工実験は、窓の断熱リフォームを推進するエコ窓普及促進会と、ガラス卸会社のマテックスに協力してもらった。検証現場は、東京都内にあるマテックスの社員寮の一室。鉄骨(S)造の建物で、間取りは1DK。部屋には掃き出し窓が1窓あるタイプだ。3日間借り切り7メーカーの製品を用意して、同じ条件になるように実験した。(協力:エコ窓普及促進会、三城工務店、須田硝子、マテックスグループ)

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