国土交通省は、政府税制調査会に工事請負契約書にかかる印紙税の廃止を検討項目として取り上げるよう要望する。建設業界は、1989年の消費税導入時に物品売買契約などについては印紙税が廃止されているにもかかわらず、工事請負契約書では存続し、消費税との二重課税になっていると批判している。
池口修次副大臣は6日の定例記者会見で、政府が検討する消費税の引き上げの議論に関連し、請負契約書にかかる印紙税について「消費税を払って、さらに印紙税を払うのは二重課税と理解している」と指摘。国交省として「これが妥当なのかどうかということを(税調で)議論してほしいと事前に(各省三役が集まる)税調懇談会で言った」と述べ、「近々ある税調で議論されると思う」との見通しを示した。
請負契約書にかかる印紙税については、建設業界が「建設工事は重層的な下請関係にあり、一つの工事で何重にも印紙税が課税されている」「消費税導入時の物品売買契約などの文書は課税が廃止されているが、工事請負契約書は印紙税が存続し、消費税との二重課税になっている」などを理由にこれまでも廃止を強く求めてきた。国交省は、消費税に加えて印紙税を取るのは二重課税との認識を示しているが、財務省は工事契約の正当性を担保するための取り決めであり、印紙税は二重課税とはいえないとの立場を崩していない。税調では国交、財務両省の主張の妥当性が争点になりそうだ。
請負契約書にかかる印紙税の税率は現在、▽1000万円超~5000万円以下の工事で2万円(現在は特例措置で1万5000円)▽5000万円超~1億円以下の工事で6万円(同4万5000円)▽1億円超~5億円以下の工事で10万円(同8万円)▽5億円超~10億円以下の工事で20万円(同18万円)▽10億円超~50億円以下の工事で40万円(同36万円)▽50億円超の工事で60万円(同54万円)。業界全体の印紙税額の年間推計額は400億円超との試算もあり、企業の大きな負担になっている。
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