国交省 下請企業の保護対策を強化 契約約款改正へ、中建審に諮問 / 建設工業

 国土交通省は、入札契約制度のさらなる改善の一環として、下請企業対策を強化する。元・下請取引の適正化に向け、書面契約の徹底による契約・取引の明確化と対等性確保を図るとともに、中央建設業審議会(中建審)に標準請負契約約款の改正を諮問。請負代金変更の甲乙協議の妥当性などを検証する。秋口までに一定の方向をまとめてもらう。

 契約約款の改正では、FIDIC(国際コンサルティング・エンジニア連盟)約款も参考に、現場レベルでトラブルの未然防止と迅速な解決を図る中立的第三者の活用も検討する。FIDIC約款では、定期的に現場を訪問してトラブルの初期段階で解決に当たり、紛争を防ぐ「紛争裁定委員会(DAB)」の活用が規定されている。

 同省はまた、多くの労働者が働く下請企業への工事代金未払いなどのしわ寄せを防止するため、金融機関や業界関係者を交えた検討組織を立ち上げ、信託や支払いボンドの仕組みを活用した下請代金保全策も検討する。信託制度による保全策は、発注者から支払われた工事代金の一定割合を信託基金として積んでおき、元請が倒産しても下請への支払いが担保される仕組み。米国で事例があり、大きなコストがかからないメリットがある。

 このほか、同省直轄工事で、あらかじめ下請企業に見積もりを提出させる「下請リスト提出入札方式(仮称)」も試行する。専門工事の施工内容が特に重要な工事を抽出し、下請の見積書を入札時に発注者に提出させることで、見積額を下回る額での下請契約は原則禁止。下請への適正な支払いを担保し、労働者を保護する。

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