国土交通省の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会(委員長・大森文彦弁護士・東洋大法学部教授)は、「建設産業の再生と発展のための方策2011」で示された課題などの「中間とりまとめ」を策定した。検討課題の一つだった業種区分は、修繕・リフォームや解体、リサイクルなどについての検討を進めるほか、建設業許可の一式工事(建築、土木)に含ま れる一定の分野を施工する業種を新たに政省令で措置することなどを検討するとした。
今回で、当面の検討事項の基本的な審議を終えた。今後、中間とりまとめで示した維持更新や低炭素・循環型社会の構築などの新しい検討テーマについて、建設産業戦略会議を再開して検討するとみられる。
中間とりまとめで示した「業種区分の点検と見直し」では、現在の建設業許可の業種区分がおおむね安定的に機能しているとしつつ、専門分化が以前より進んだ分野や複数業種を含んで一式工事のような形で発注される分野、どの業種に分類されるか明確でない分野などがあると分析。現在の業種区分が「つくる」という行為を念頭に定められており、維持管理時代の到来や循環型社会の構築といった社会的ニーズに対応する視点での見直しが必要との考えを示した。このため、修繕やリフォームなど「なおす」、解体やリサイクルなど「とりこわしてつかう」といった行為に関連した見直しの必要性が高いとし、引き続き検討する。
見直しに当たっては、▽工事に必要な技術が専門化し、対応する技術者資格などが設定可能か▽疎漏工事のリスク低減など適正な施工確保や社会的課題の解決に顕著な効果が見込まれるか▽既にある程度の市場規模があり、今後も工事量の増加が見込まれるか――という3点の考え方を踏まえ、対応する技術者資格の設定などが検討課題になる。
また、現在、一式工事となっている建築、土木のうちの一定の分野だけを施工できる新しい業種を政省令で措置するといった新しい仕組みも検討するよう促した。建築、土木一式工事のうち、特定の分野の施工はできるものの、一式としての施工はできないような業種を政省令で定め、一式工事の許可を受けている企業は従来どおり施工できるといった仕組みを念頭に置いているとみられる。
基本問題小委員会での基本的事項の審議は終えるものの、中間とりまとめでは「今後への期待」として新たな検討テーマを提示した。エネルギー制約や、震災復興の本格化に伴う供給力不足の顕在化など建設産業を取り巻く状況が変化していることから、建設市場のあり方、住宅・社会資本の維持更新、低炭素・循環型社会の構築を挙げた。あわせて、入札契約制度のあり方も検討課題になる見込み。
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