国土交通省は、経営事項審査(経審)の結果を建設業者のランク分けに活用するだけでなく、評価項目の内訳を抜き出して公共工事の個別入札案件に利用することを検討する。想定しているのは、各項目の中でも地域貢献度などを加味して「社会性等」の評価を数値化するW点の活用。中長期的な品質確保方策として経審の評価項目を見直す中で、各発注者の判断で有効に利用できる手だてを講じる。「中小自治体などの負担軽減にもつながる」(青木由行建設業課長)とみている。
経審では、経営状況(Y)、経営規模(X1、X2)、技術力(Z)、その他審査項目(W)の各項目で出した数値をそれぞれ重み付けした上で合算し、総合評定値(P)を出す。算定結果は、公共工事の競争参加資格審査で客観的数値として業者をランク分けするのに利用されている。国交省は、多様な入札契約方式を導入する一環で、地域の実情などに応じて中長期的な公共工事の品質確保の観点から、経審、資格審査、総合評価などの入札契約の各段階で若手技術者の確保状況などの評価を充実させる考え。18日に開いた中央建設業審議会(中建審)・社会資本整備審議会(社整審)合同の基本問題小委員会にその考え方を伝えた。小委員会で青木課長は、「経審で出した数字を再活用することも運用の中で検討してみたい」との考えも示した。
経審などによる評価の充実について国交省は、「若手技術者・技能者の活用」「若手入職者への伝統技術の継承」など、人材育成や地域貢献といった取り組みを例として挙げた。経審で対象の一つとして想定されるのが、社会保険などへの加入の有無や防災協定締結の有無なども評価しているW点の見直しだ。
見直しに合わせ、個別の評価結果を抜き出してマンパワー不足という課題を抱える自治体などが発注時にも活用できるようになれば、多様な入札契約方式を導入する上で負担軽減効果が期待できる。全国共通指標で社会性など評価するW点を向上させようという建設業者の取り組みを促すことにもつながりそうだ。
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