東京・多摩地区の土木工事をめぐり、公正取引委員会が談合を認定して下した独占禁止法に基づく課徴金納付命令を不服として大成建設、新井組、奥村組、飛島建設の4社が東京高裁に起こした訴訟で先週末、4社の訴えを認めて公取委の審決の取り消しを命じる判決が出された。同じ審決に対し、別のゼネコン21社が取り消しを求めた4件の訴訟では、東京高裁はいずれも談合を認め請求を棄却。9社が上告して争う姿勢を見せているが、7社は上告を断念し、既に5社は営業停止処分済み。審決取り消しという異例の展開は、業界に波紋を広げている。
多摩地区の土木工事でゼネコンが談合を繰り返したとして、公取委は01年11月に34社に総額6億9000万円の課徴金納付を命令。全社がこれを応諾しなかったため審判が開始され、08年7月に納付を命じる審決が30社に出された。これを不服とした25社が取り消しを求めて提訴。5件に分けて裁判が行われてきた。
19日の判決で藤村啓裁判長は「独占禁止法が禁じた不当な取引制限があったことを立証する実質的な証拠はない」とした。公取委の審決が取り消されるのは異例とされる。仮に公取委が上告しなければ、4社に対する課徴金納付命令は取り消され、訴訟費用も公取委が負担することになる。
同じ審決に対する別のゼネコン21社の取り消し訴訟では、09年5月29日(6社)、10月23日(4社)、12月18日(4社)、10年1月29日(7社)にそれぞれ出た判決でいずれも請求が棄却されている。既に淺沼組、西松建設、錢高組、加賀田組、大木建設の5社は、建設業法に基づく監督処分である営業停止処分を受け入れており、別の7社も、上告を断念または却下されて判決が確定しており、今後、同様に営業停止処分が行われる見通しとなっている。
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