年金福祉施設の整理に伴い3月末に閉館する大阪厚生年金会館(大阪市西区)を購入したオリックス不動産(本社・東京都)は24日、同会館の2400人収容の多目的大ホールを同規模のまま存続させる計画を発表した。同会館をめぐっては市民から存続運動が巻き起こり、大阪市は全国で初めて、都市計画で千席以上のホール機能の確保を義務付けた経緯もあるだけに、同市の平松邦夫市長は同日の記者会見で「市民とともに喜びたい」と声を弾ませた。
1968年に開館し、関西最大級の大ホールを持つ同会館は年間100万人が利用し、長年にわたり「大阪の芸能文化の殿堂」として親しまれてきた。全国の年金福祉施設と同様に民間に売却されることになり、運営主体の独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構は、市の要望を受けて閉館の時期を1年半延期したが、3月末に閉鎖することが決まっている。
オ社は2009年10月に同会館を落札。同社によると、大ホールに耐震補強や空調設備の新設の工事を施した後、11年秋ごろにリニューアルオープンする予定。大ホール以外の施設は取り壊し、分譲マンションとする。
都市計画で義務付けられた「千席」を超える2400席を確保したことについて、オ社の担当者は「大阪市と音楽関係者から、大阪から2千席以上のホールがなくなるとの声を聞いていたのと、事業の採算性を検討した結果」と説明している。
一方で、市民から15万人分の存続を求める署名を受け、閉館時期の延期を同機構に申し入れたり、オ社に2千席以上のホール設置を要望するなど“あの手この手”を講じてきた市にとってもうれしいニュース。平松市長は「文化振興の観点からも非常にありがたい。(オ社に対しては)行政手続きなど必要な協力をさせていただく」と喜んでいた。
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