東日本高速道路会社は、ケー・シー・エス(東京都新宿区)に6月4日から1カ月間の競争参加資格停止措置を講じた。担当する業務で知った情報を同社が第三者に提供。この行為が契約書に定める守秘義務の条項に違反した。
ケー・シー・エスが担当したのは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の「菖蒲白岡IC(インターチェンジ)~久喜白岡JCT(ジャンクション)間騒音予測検討業務」。東日本高速が条件付き一般競争入札で発注し、992万2500円の契約制限価格に対してケー・シー・エスが336万円で落札した。
調査期間は当初、2009年1月17日から10月13日までの予定だったが、地元説明会などの開催が遅れたことから同年12月12日まで期間を延長している。
同業務では、開通後の道路騒音を環境基準にのっとった評価手法で予測。その結果に基づいて遮音壁の高さを設定し、遮音壁の工事を発注するための図面を作成する。評価手法には等価騒音レベルに加えて、中央値を用いた予測式も採用。長さ約3kmに及ぶ区間を二つの評価手法で28断面ずつ、合計56断面にわたって道路騒音を予測した。
この調査業務で知った設計情報の一部を、ケー・シー・エスは業務の履行中に第三者へ提供したという。ただし、提供した設計情報の内容や守秘義務違反が発覚した経緯、第三者の業種など、違反行為の詳細について東日本高速は明らかにしていない。
日経コンストラクションの取材に対しても、東日本高速は「今後の入札執行の妨げとなるので、詳細については答えられない」と説明。「設計情報の漏えいによって入札が中止になるなどの実害は生じていない」と言う。
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