口にしてしまった後に「失敗した」と自ら反省する一言――。誰しも経験があるはずだ。日経ホームビルダーでは、家づくりでプロが陥りがちな失言トラブルの体験を現場監督や設計者などに聞いてみた。
「適当に」は許せるか、許せないか――。工務店の現場監督Aさんが戸建て住宅の内装リフォームで経験した失敗談だ。一部の居室の改修で、顧客が住みながらの工事だった。ある夕方、現場で大工職と翌日の作業について打ち合わせていた際、大工職から、新しく張る床材が既存の建具と取り合う個所の納め方について聞かれた。「適当に頼むよ」と答えたAさんに、たまたま居合わせた顧客は憤慨。「適当にやれとはどういうことだ」と自社の社長にまでクレームを持ち込まれてしまった。
「構造や意匠などの面であまり重要ではなく、複雑な納め方も必要ないような個所では、大工職の裁量で納めてもらうのが通常。この場合も同様で、“任せるので適切に”という意味だったんですが…」とAさんは頭をかく。
職人がポロッと言った一言が――。監督のBさんは内装の改修直後、顧客から「クロスがでこぼこだ」とクレームを受けた。施工したクロス職人を連れて行くと、日中の室内が明るいうちは目立たないが、日が暮れて照明だけになると確かに不陸が…。すると職人が顧客の目の前で、「下地をやったやつが下手なんだよ」と言い訳した。それを聞いた顧客は激怒。Bさんは平身低頭で謝るしかなかった。
家づくりのプロに聞いてまわると、こうした“失言”に関する様々な体験例があった。上に紹介した事例はその一端。日経ホームビルダー12月号特集「失言が招くトラブル」では、こうした15ケースの失敗談を取り上げた。後で笑い話で済まされがちな失敗談もあるが、掘り下げて考えてみると、コミュニケーションの方法自体に潜む問題点や、作業者教育などでの重要なテーマも浮かび上がってくる。いずれもコミュニケーションギャップを生む落とし穴と言える。
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