国土交通省官庁営繕部は、公共建築の発注機関が工事監理業務を外注する際に参考にしている「工事監理等業務委託マニュアル」を4年ぶりに改定した。従来は施工段階での「設計意図伝達」と「品質管理」の両業務で構成していた工事監理業務の章立てを見直し、工事監理業務は「品質管理業務」と明記する一方、「設計意図伝達業務」は設計者が行う業務としてマニュアル本編から外した。国交省は品質確保の観点から設計と工事監理の両業務を別々に発注しているが、自治体には浸透していないこともあり、マニュアル改定によって品質管理の徹底と自治体での分離発注の促進を目指す。
工事監理業務は、建築物の施工段階で建築士が担当する仕事として、1979年に当時の建設省が告示した建築士事務所の業務報酬基準(旧告示)の中で、施工者に設計の意図を伝達する「設計意図伝達業務」と、施工者の行う工事が設計図書の内容に適合しているかどうかを確認する「品質管理業務」の二つと定められていた。建築士の業務内容を見直した建築基準法の改正(07年6月)と建築士法の改正(08年11月)の内容を踏まえ、国交省は昨年1月に告示を改定。その際、設計意図伝達業務については、実施設計に関する標準業務として工事監理業務から切り離した。
今回のマニュアル改定は、新告示の内容との整合を図るもので、工事監理業務は「品質管理業務」と明記する一方、「設計意図伝達業務」はマニュアル本編から外し、別冊資料にその解説を記載。工事監理者に対し、工事書類の確認と現場への立ち会い確認を徹底するよう求めている。国交省は、工事品質を高める観点から、相互チェックの機能が働くよう、設計業務と工事監理業務とを別々に委託する第三者監理方式を01年から導入している。ただ、自治体では、旧告示の内容に基づき両業務を一体で発注している事例も依然多い。
同省は、自治体などが委託時の参考にしている工事監理等業務委託マニュアルで品質管理業務と設計意図伝達業務を分離し、その違いを明確に示すことで、第三者監理方式の導入を促進。適切な品質管理業務の実現を目指す。
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