国土交通省は、人口を基本的な基準として設定している「市街化区域」について、人口密度に加え、浸水や土砂崩れなど防災の観点も基準として加える方法を検討する。危険な土地における市街化をコントロールしつつ、市街地の拡散を抑制して集約型都市構造化を図る仕組みのあり方などを、都市計画制度の見直しに合わせて検討するとみられる。
市街化区域は、都市計画法第7条2項において「既に市街地を形成している区域とおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義されており、全国に約140haが存在する。
今後、人口減少が進む中で、無秩序な市街地の拡大を抑制して集約型都市構造を目指すとしても、人口密度などが市街化区域設定の主な目安となっている現在の制度のあり方を維持するのが困難と考えられている。
加えて、東日本大震災を受け、浸水や土砂崩れなどのおそれがある危険な土地が市街化するのを抑えるなど一定の誘導方策の必要性が再認識されている。
都市計画制度の見直しを進めている国交省の社会資本整備審議会都市計画制度小委員会ではすでに、市街化区域と市街化調整区域の概念を見直す方向で検討しており、「非建築的土地利用」を重視する方向性などが示されていた。規制誘導の手法として、防災の観点から開発許可基準を拡充することも検討項目として上がっていた。
国交省は、これらを踏まえ、市街化区域設定の際に、防災性を考えた設定方法などを検討する。このほか、同小委員会で検討が進んでいた都市計画区域を越える広域の範囲での土地利用をコントロールする手法やその実現可能性の検証なども進める。
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