県の名産、干しイモの加工で出る残りかすからバイオエタノールを製造する取り組みを、筑波大や県工業技術センターなどの研究チームが始めた。農業機械などの燃料として利用し、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出減につなげる計画。小型の製造装置を開発し、近く本格的な製造実験に入る。厄介者だった残りかすを、環境に優しい有用資源に転換する試みだ。
干しイモはひたちなか市を中心に生産される。蒸したサツマイモを天日で干して作られ、年間の生産量は1万トンに上る。県によると、産出額は69億円(2008年)で、全国の99%が茨城産だ。生産時、手作業の皮むき工程で年間約4万トンの残りかすが出る。利用価値が低く、これまで多くが廃棄されていた。
研究チームが調べたところ、残りかすの中にイモの身が皮に付着して残っており、でんぷん質が18%も含まれていた。これまで見逃されていたこのでんぷん質に注目し、エタノール製造の原料にすることにした。
研究チームの北村豊・筑波大准教授は、ドラム缶を利用した小型のエタノール製造装置を開発した。装置内に残りかすと水を入れ加温し、酵母を加えて発酵させる。蒸留過程を経て数日でエタノールができる。効率よく反応が進めば、150キロの残りかすから75リットルのエタノールが得られるという。植物から製造されるこうしたエタノールは、バイオエタノールと呼ばれる。
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