建築関連投資50兆円超 / 日経BP

経済産業省は6月8日、2030年までのエネルギー政策の指針を定めた「エネルギー基本計画」案を発表した。閣議決定を経て正式決定する。1990年比で30%の国内CO2排出量を削減可能で、このために総額131兆円の投資が必要と試算する。このうち住宅・建築物関係の投資額を50兆3000億円とみている。

 計画では、エネルギー安全保障、エネルギー需給構造の低炭素型への変革、環境・エネルギー大国の実現を柱として、これらの分野に国として注力することを掲げている。

 C02排出量の削減は、(1)エネルギー自給率と化石燃料の自主開発比率向上(2)原子力などのゼロ・エミッション電源の利用(3)家庭のエネルギー消費から発生するCO2量の半減――などによって、2030年までに現状(2007年)から約5億tを削減。1990年比30%減の7億3000万tに引き下げられると試算している。

 このうち民生部門のCO2排出量は、家庭関連が1990年比34%減の8500万t、業務関連が同37%減の1億400万tで、住宅・建築物の省エネ、高効率の給湯器や照明の導入、IT機器の省エネ化などで実現する。

 住宅・建築物の省エネ化は、具体的には2020年までにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準的な新築住宅とするとともに、既築住宅の省エネリフォームを現在から倍増させ、新築住宅の平均でZEHを実現する。また、ビルなどの建築物は、2030年までに新築の平均でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現することを目指す。

 これらの目標を達成するため、住宅・建築物の省エネ基準適合を義務化する。対象、時期、必要な支援策などについては、年内をめどに取りまとめる予定だ。住宅については、省エネ法などによる規制強化とあわせて政策的な支援も実施。建築物は、まずエネルギー消費量を総合化した新基準を2011年度中に策定する。

 LED照明や有機EL照明といった高効率次世代照明については、2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%普及させることを目指す。

 計画の実行に必要な累積投資総額131兆円の約6割を民生部門が占める。内訳は、住宅・建築物の省エネが50兆3000億円、家庭用高効率給湯器の普及が4兆6000億円、高効率照明の普及が4兆2000億円、IT機器の省エネ(グリーンIT)が6兆円など。

 エネルギー基本計画は3年ごとに改訂しており、今回、全面的な見直しを行った。

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