(財)建設経済研究所が10月30日のセミナー「日本経済と公共投資」で発表した予測によれば、2010年度の名目建設投資は41兆600億円に、名目政府建設投資は15兆5000億円にまで落ち込むという。22日に公表した推計値を、2010年度の概算要求額を踏まえて下方修正した。
実質投資額の修正値は30日には発表されなかったが、2000年度を基準とした2010年度の実質建設投資は40兆円台に、実質政府建設投資は15兆円前後になりそうだ。この建設投資額は実に、1970年度の41兆6389億円を下回る。
実質建設投資のピークは1990年度の約84兆円。70年から20年でピークを迎えた建設投資が、今度は逆に20年で70年当時の水準に戻ることになる。
建設投資の減少は、雇用にも少なからず影響を与えるだろう。総務省が10月30日に公表した労働力調査(速報)では、建設業の就業者数は2009年9月時点で503万人。1年前と比べて20万人減った。
1970年の建設業の就業者数は1年間の平均で 394万人であり、生産性などが同等と仮定するなら、これから100万人程度が減少する可能性がある。
前原誠司国土交通相は日経コンストラクション10月23日号のインタビューで、「年間の完工高が100万円以上の会社は20万社程度」としたうえで、「20万社という建設会社数が果たして妥当かといえば、私は多いと思う」、「転業支援をどうやっていくかが今後の課題」と、建設会社の数の多さに言及している。
建設業の就業者数が今より100万人程度少なかった1970年ごろは、69年に東名高速道路が開通するなど大規模プロジェクトの完成や着工が相次いだ。そして72年には、田中角栄通産相(当時)が「日本列島改造論」を発表している。
開発を主とする日本列島改造論から40年弱を経て、2010年は新たな「公共事業改造論」へと転換する節目の年となるかもしれない。
では、どのように転換するべきか――。
経済波及効果より経済「損失」を基本に
建設投資が70年ごろと同じ水準に戻るとはいえ、建設事業を取り巻く環境は一変。これからは、そのころに建設した構造物を補修し、維持管理していくことになる。しかし、その財源は不足している。
国土交通省は2005年、「2030年ごろには必要な維持管理費と更新費のうち、半分の予算しか確保できなくなる」とする試算結果を発表したが、昨今の「無駄な公共事業」の見直しによって、予算の確保はさらに厳しくなる。
日本の社会資本が荒廃していく危機を指摘する声は増えてきたものの、公共事業を批判する世論を納得させるまでには至っていない。公共事業による経済波及効果の説得力も弱まっている。
一方、例えば2008年8月の首都高速道路の火災事故では、1本の道路が通行止めになったことで周辺の一般道路や高速道路に大渋滞を引き起こした。さらに、首都高速道路全体の料金収入は1日当たり5000万円減少したという。
最近の例では、北海道の四ツ峰トンネルが覆工コンクリートのひび割れなどで2009年7月から通行止めになっており、スキーや観光が支える地元の経済に打撃を与えると心配されている。
従来のように経済成長を前提とするならば、建設によって得られる効果は事業の可否を決める一つの指標足りえた。しかし、管理が主となるこれからは、つくることで得られる効果より、使えなくなることで被る損失に目を向けるべきではないか。
なにより先述の首都高速や四ツ峰トンネルのケースのように、インフラの不具合がもたらす損失は、受益者や利用者にとって経済波及効果よりも実感を伴ったものになるはずだ。
その損失額を、地域だけでなく国全体としても算出し、これからの行政サービスの水準と照らし合わせながら社会資本のあり方を考えてみる。維持管理に最低限、必要なコストも併せて示す。
公共事業批判が落ち着く兆しは見えないが、損失額などの実感を伴ったデータが、目先の公共事業ではなく社会資本の将来に目を向けるきっかけになりはしないだろうか。
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