建設技術者制度のあり方検討開始 / 建設工業新聞

国土交通省は、建設業の技術者制度について検討する有識者会議「技術者制度検討会」を設置し、19日に省内で初会合を開く。施工監理を適正に行える技術者の確保や技術力・資質の向上に必要な方策を幅広く検討。今年5月に政府の行政刷新会議が実施した事業仕分けで「廃止」などと判定された同省所管財団法人の建設業技術者センターが行っている監理技術者資格証の交付と、全国建設研修センターが行っている監理技術者講習の2業務についても、その必要性などについて委員や建設業界99団体に意見を求め、改善に役立てる。検討会は半年程度をかけて報告書をまとめる。
 初会合では、技術者制度の現状と最近の動向を把握し、技術者の資格や教育、適正な施工監理のあり方などに関して当面の検討課題を議論する。建設技術者にかかわるすべての資格を検討対象とする。監理技術者資格証の交付と監理技術者講習については、技術者の技量の確認や、資格の偽装・名義貸しなどの不正行為防止に役立っていることも踏まえて今後のあり方を検討する。建設業界99団体や都道府県、政令指定都市を対象に技術者制度のあり方についてのアンケートも実施し、検討会の議論に反映させる。
 建設業法は、公共工事など同法で定める一定範囲の工事の現場には監理技術者を専任で配置することを義務付けている。監理技術者は、建設業技術者センターが交付する監理技術者資格証を携帯し、全国建設研修センターなど実施する監理技術者講習を受講することが必要。監理技術者は現在、全国に約68万人いるとされる。
 資格証の交付と講習の2業務については、公益法人などを対象にした5月の事業仕分けで、資格証の交付に「廃止」、講習に「受講の義務付け廃止」との判定が下されている。このため検討会は、2業務の扱いについては早い段階で一定の方向性を出し、途中で中間取りまとめを行うことも視野に入れている。検討会は、監理技術者制度の見直しを含め不良不適格業者の現場への参入防止策や、資格の偽装などの不正行為の排除策などを幅広く議論するが、結果によっては建設業法の改正が必要になる可能性もあり、実施までには一定の時間が必要になりそうだ。

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