民間信用調査会社の東京商工リサーチは1月13日、2011年1月から12月までの全国企業倒産状況を発表した。建設業の倒産件数は前年比3.7%減の3391件で、負債総額は同8.7%減の4816億4700万円だった。倒産件数が3500件を下回るのは1994年以来、17年ぶり。負債総額が5000億円を下回るのは1990年以来、21年ぶり。
中小企業金融円滑化法などの金融支援策が効果を発揮した。ただし、建設業の倒産件数を原因別で見ると、「運転資金の欠乏」が前年比15.6%増の244件に、「赤字の累積」が同12.0%増の446件に上るなど、金融支援策の限界を思わせる倒産が増えている。
建設業の倒産件数を地区別で見ると、「東北」が前年比34.9%減、「北陸」が同25.2%減、「関東」が同5.1%減になるなど5地区で前年を下回った。一方、「中国」が同7.1%増、「中部」が同4.8%増、「近畿」が同1.4%増となり、全体では西高東低の様相。東日本大震災の復興事業などが影響しているとみられる。
倒産した建設業は、2010年と同様に中小規模の建設会社が多い。負債総額で見ると1億円未満の倒産が前年比1.6%増の2286件と、全体の約7割を占めた。従業員数でも5人未満の会社の倒産が前年に比べて0.9%減ったものの、全体の約6割を占める2001件だった。
2012年の見通しについて東京商工リサーチ情報本部の関雅史課長は、2011年と同様の傾向が続くものとみている。東日本大震災の復興に向けた事業が本格化することになるが、公共事業は全体で縮小傾向にあり、建設業を取り巻く厳しい経営環境は変わらないからだ。
「金融円滑化法が再延長される見込みだが、同法のねらいが資金繰りから事業の再建へと変わり、金融機関の対応は厳しくなるとみられる。震災の復興需要が及びにくい西日本の地区の動向には注視している」と関課長は話す。
東京商工リサーチが集計の対象としているのは、負債総額1000万円以上の倒産。法的倒産のほかに、銀行の取引停止処分などの私的倒産も含めている。
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