国土交通省は、東日本大震災の発生で中断していた建設産業の再生策を話し合う有識者会議「建設産業戦略会議」の議論を2カ月ぶりに再開した。17日に開いた会合のテーマは、▽東日本大震災の現状と課題▽保険未加入企業の排除▽海外展開支援▽新事業展開支援-の4項目。今後3回の会合を経て6月末に最終報告をまとめることを確認した。国交省は最終報告を受け、入札契約制度や関連法制度の見直し作業に移り、早期に対応できる施策は秋口に実施する。法改正などは内容を精査し、来年の通常国会に法案を提出する考えだ。
再開後の会合でテーマとなった大震災の現状と課題では、震災発生後に国交省が行った公共工事の前払金の割合引き上げ(請負代金の4割から5割へ)などを説明。委員からは、復旧・復興対応で被災地周辺の建設需要は急増するが、復興事業終了後の需要減に対してどう対応すべきかとの意見があり、最終報告に盛り込む方向で検討を進めることで一致した。
保険未加入企業の排除、海外展開支援、新事業展開支援の3テーマは、同会議が今年1月にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針」に盛り込まれた項目で、17日の会合ではこのうち保険未加入企業の排除について重点的に議論した。各委員が公正な競争環境の確保や、若年層の入職促進のためにも保険加入は必要だと指摘。周知期間を置いた上で例えば5年程度という期間を区切って加入を促進すべきだとの意見も出された。加入促進の方法として、建設業許可時のチェックや、建設業界団体による自主的なチェック、元請企業に対し法令で保険加入の努力義務を課すなどの提案もあった。
産業別の労働者の雇用保険の加入率(09年度実績)によると、製造業は雇用保険が86・5%、厚生年金保険が87・1%なのに対し、建設業は雇用保険が50・7%、厚生年金保険が61・8%で、製造業の加入率を目標にしてはどうかとの意見も出た。新事業展開支援については、震災復興需要で一時的に建設投資が膨らんでも、将来的には減少が進むとの見通しに変化はないとする意見が大半を占め、中長期的な視点で海外進出を後押しする施策を打ち出すべきだとの考え方で一致した。
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