建設産業戦略会議 / 建設工業新聞

建設産業の再生方策を検討する国土交通省の有識者会議「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大教授・弁護士)は、1月6日にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針」について、業界からの意見聴取を始めた。3日の会合では、日本土木工業協会(土工協)が、基本方針で地域建設業への対策に大きな重点が置かれていることに疑問を呈し、透明性を確保しつつ効率的に社会資本整備を進めるという公共事業政策の本旨を踏まえるべきだと主張。全国建設業協会(全建)は、災害対応や除雪など地域を維持する工事について、透明性や公平性などを確保した指名競争方式(地域維持型契約方式)を創設するよう提案した。
 戦略会議は、施策の具体化に向け、22の団体・グループに意見を出すよう要請。3日に始まったヒアリングには、▽日本建設業団体連合会・土工協・建築業協会グループ▽全建▽建設産業専門団体連合会(建専連)傘下の全国鉄筋工事業協会、全国室内工事業協会、日本塗装工業会、日本機械土工協会▽建設コンサルタンツ協会-が参加した。
 土工協は、大手を含めて建設産業全体が疲弊しているとあらためて強調し、官公需での地域業者保護政策が行き過ぎることへの懸念を表明。「建設業界内における事業量の再分配のみに議論が終始し、不透明な印象を与えてはならない」と指摘した。入札契約方式については、2段階選抜の導入拡大や「2封筒方式」など多様な方式の導入を要望。新しい仕組みを可能にするため会計法などの見直しも求めた。
 全建は、地域建設業者の安定的な事業量確保へ向け、過剰な競争環境の解消などを求めた。透明性や公平性の確保は重要としながらも、簡便性や迅速性とのバランスを考慮することも必要だと指摘。地域性や条件を限定し、かつ透明性を確保した上で「地域維持型契約方式」を導入するよう要望した。供給過剰構造の是正に向け、建設業の新規許可の厳格化など参入要件の強化や、企業再編・転業・廃業への支援も必要だとした。委員からは、地域に必要な建設業の規模について、全建の見解を求める質問が出された。戦略会議は、7日の次回会合でもヒアリングを行い、これらの意見を参考に、施策の具体化に向けた議論に入る。

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