国土交通省は、情報通信技術(ICT)を導入して高度な施工管理を行う情報化施工を中小規模の工事に普及させる。同省直轄工事では10年度、情報化施工の実施工事が前年度より倍増したが、関連設備の投資コストがかかるため、規模の比較的大きな工事が中心だった。今後、中小工事でも導入しやすい環境の整備や発注方法などを検討する。情報化施工はICTを用いて建設機械の稼働や出来形を高精度に管理し、施工の合理化、品質の向上につなげる技術。同省は05年度から試行工事を実施し、対象工種・件数の拡大を図ってきた。昨夏には、情報化施工技術の一般化・実用化の推進に向けた今後の方策を各地方整備局に通達。13年度までに一般化する技術の導入推進や実施体制、発注・契約上の対応などを明示している。
10年度は実施工事の件数が前年度の2・1倍の313件、導入技術も1・9倍の429件へと急増。工種別の10年度実施技術では道路土工に186件、河川土工に122件、舗装・路盤工に60件の技術が導入されるなど工種も広がりつつある。同省は11年度、東日本大震災の影響で目標は不透明ながらも「導入拡大のベクトルに変更はない」(担当者)としており、10年度以上の件数増と対象工種の拡充に取り組む方針。その一環として、今後は中小規模の工事での活用を積極展開する考えだ。
ただ、情報化施工を行うには、これに対応した重機やシステム類を導入することが必要。その設備投資がコストアップ要因となり、大規模工事で施工数量の多い現場でなければ費用対効果でメリットが期待できないという課題がある。そこで同省は、レンタル・リース契約による関連設備の利用やシステムの標準化など、中小規模の工事に導入してもメリットを生み出しやすくなる方法や契約条件、施工管理のあり方などを幅広く検討していく。
同省の情報化施工の導入工事では、情報化施工技術の採用を発注者側が指定する案件と、施工者からの提案で活用する案件がほぼ同じ割合となっている。同省は、建設業者の認知度や技術的熟度も高まってきているとみており、中小工事も含め一層の普及拡大を目指す。
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