日本一安く、安全な庁舎」建設へ / 日経BP

東南海・南海地震が起こった場合、津波の被害を受ける恐れがある和歌山県印南町は、新庁舎の移転新築を1年前倒して2013年度に実施する。新庁舎は免震構造を採用しながら、効率的なレイアウトなどで建設コストを抑え、「日本一安く、安全な庁舎」を目指す。

新庁舎の内部イメージ（資料：印南町）

　鉄筋コンクリート造3階建ての現庁舎は、1964年築で老朽化が進んでいる。2004年に行った耐震診断では、大地震があると倒壊の危険性が高いと指摘された。町は当初、2014年度の移転を計画していたが、今年2月に和歌山県南部で起こった地震で震度4の揺れがあり、庁舎の内外の壁にクラックが発生。さらに東日本大震災が起こったことなどから、前倒しを決めた。

新庁舎の位置図（資料：印南町）

　移転先は現庁舎の北西約500mの高台で、町が造成した同町山口の「かえるの里」。新庁舎は免震構造を採用すると同時に、華美な装飾や高価な資材を排除し、効率的なレイアウトで執務スペースを縮小。延べ床面積約2000m2で、建設費を6億円以下に抑える計画だ。1坪（3.3m2）当たり100万円以下に抑えれば庁舎の建設費としてはかなり安いと、同町では考えている。なお、総事業費は9億円以下の予定だ。

 　建物内には、大地震の際に救援活動や復旧活動の拠点として活動できるよう、会議室と兼用の災害対策本部室、飲料用貯水設備、自家発電設備などを備える。さらに、敷地内のオープンスペースや庁舎内ロビーなどを、一時的な避難場所として使えるようにする。

新庁舎に導入を予定しているエコ装備（資料：印南町）

　このほか、高断熱ガラス・自然換気・自然採光などの光熱費削減、太陽光発電など自然エネルギーを導入。エコマテリアルやメンテナンスフリー素材の採用などで、維持管理費を抑えて、コストパフォーマンスの高いエコ庁舎とする考えだ。2011年度にプロポーザル提案方式で設計業者を選定。2012年度に入札を実施する。

 印南町新庁舎

所在地：和歌山県印南町山口150-4ほか
発注者：印南町
設計者：未定
施工者：未定
竣工時期：2013年6月予定
オープン時期：2013年7月予定
主構造：未定
階数：未定
延べ床面積：約2000m2