林業再生へ国も支援 公立校に広がる「木の学舎」 / SankeiBiz

鉄筋コンクリート一辺倒だった公立学校の建築で木を使う取り組みが徐々に広がっている。湿度調節などの機能を持つ木がもたらす快適な空間で学校生活を過ごしてもらうためで、戦前戦後の植林地が伐採期を迎えたことも背景だ。林業再生を掲げる政府は、公共建築で木材利用を促す法案の通常国会での成立を目指しており「木の学舎」の流れは加速しそうだ。

 栃木県茂木(もてぎ)町の茂木中学校の校舎は2008年12月、基本構造が木造で、防音・防火対策のため一部鉄筋コンクリートを使った2階建てに建て替えられた。中に入ると、木の香りが心地よい。廊下の両側に皮をむいただけの丸太の柱が連なり、壁や天井、床は地元産のスギやヒノキの板だ。

 木材には空気中の水分を自動的に調整する機能があり、乾燥する2月でも校舎内の湿度が50%を下回ることはまれ。一方、梅雨の時季は湿度が60%程度に抑えられ、涼しさを感じるほどだという。茂木町では、70~90年前に住民総出で町有林を植林した。しかし輸入材の影響などで木材価格は低迷、せっかく育った木が利用されずに朽ち果てる危機感から、木の学校づくりに取り組んだ。

 外から見える部分はすべて町内産木材で調達、住宅100戸分の1600立方メートルに上る。町内の林業関係者や大工らが協力し、費用は鉄筋コンクリートと同程度に抑えた。古口達也町長は「伝統建造物のように長持ちすることを願い(つなぎ目のない)無垢(むく)材にこだわった。植林した先人の思いを子供に知ってほしい」と話す。

 1960年ごろ全国の小中学校の校舎は大半が木造だったが、燃えにくい公共建築が求められるようになり激減した。しかし温暖化防止などで森林や林業の役割が見直され、国の補助制度もあって木材利用が増加。84年度には木造で公立学校を整備した例はほぼ皆無だったが、08年度には床面積で10%を超えた。

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