大阪府左官工業組合(邑智保則理事長、74社)は19日、大阪市内で臨時総会を開き、左官工事標準歩掛表を決定した。専門工事業団体が適正単価要望を行った例はあるが、詳細な標準歩掛表を作成し、総会で承認したのは全国でも初めて。同組合では社会保険の未加入問題を機に、左官職人の確保・育成や経営基盤の立て直しのために、歩掛委員会(委員長・大関憲二専務理事)を設置し、作成作業を進めていた。歩掛表は見積もり参考単価161項目を記載、常用単価2万4000円(福利厚生費除く)を求めている。
臨時総会には63社が出席した。邑智理事長は「ここ数年、単価の面で非常に厳しい状況を強いられてきた。職人が減り続け、近いうちに会社が成り立たなくなる。社会保険問題も含めて抜本的な改革のため、組合員が一致団結して守る標準歩掛表を諮りたい」と趣旨を述べた。その後、大関専務理事が歩掛表を説明し、全会一致で承認した。
異例の組合歩掛表の背景には、職人の高齢化、若者の入職難、社会保険の加入負担がある。日本左官業組合連合会の調査では、1995年には全国に左官工は18万7000人いたが、2010年には8万7000人にまで減少。年齢も大阪府組合の12年調査で60歳以上が35%、50歳代が25%を占めている。
歩掛表は161項目の施工部位・名称からなる。契約条件は次のとおり。
〈標準歩掛〉
建築工事標準仕様書(日本建築学会編)、建築工事共通仕様書(大臣官房官庁営繕部編)を施工仕様標準とする。
〈左官常用工賃および割増工賃〉
基本歩掛は、材料実費精算、現場経費および一般管理費は別途計上、社会保険ほか法定福利費15%別途計上、酷暑・極寒期間は別途割増有り。残業、休日勤務は、普通残業25%増、深夜残業50%増、休日勤務35%増。遠距離交通費、宿泊費は別途請求とする。
〈施工基準〉
仕上げの程度は一般工事並みとし、塗り厚は外壁25mm、内壁15mm、床30mm以内。標準施工面積を300㎡以上とし、4階建て以下の建物を基準とする。5階以上の建物は、1階増すごとに5%の荷揚げ経費を加算。
〈施工条件〉
極端に施工性が悪いと思われる工事は別途加算。躯体工事の遅れにより、左官工事の工期に大幅の短縮を求められた場合、突貫費用は別途協議のうえ精算。下小屋、仮設、水、電気、荷揚げ機器、産廃処理費、工事のための駐車料金は発注者負担になる。その他契約以外の費用は別途加算する。
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