民主、自民、公明3党が合意した「社会保障と税の一体改革関連法案」修正案に、消費税が引き上げられた場合、引き上げ分を原資に、事前防災や減災対策に重点投資する条文が盛り込まれた。このほか建設業界が税制問題で大きな課題としてきた「請負工事契約書の印紙税」についても負担軽減の検討が税制改正施策として示された。関連修正案が成立すれば、デフレ脱却と経済成長のために、消費税引き上げの一部が全国的な防災・減災整備の原資になるほか、建設業界で税制最大の懸案だった印紙税問題も解決に向け大きく前進することになる。
消費税引き上げ関連法案は、当初、名目経済成長率3%程度、実質経済成長率2%程度を目指すための必要な措置を行う景気条項だけだった。
ただ3党の修正協議の結果、新たに経済成長へ向けた施策として、「成長戦略と事前防災・減災などの分野に重点投資する施策検討」の条項を景気条項として追加した。景気条項の新たな追加は、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行う地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案」の修正案にも盛り込まれ、地方消費税率引き上げ分を、地方自治体が防災・減災対策に投資できる道筋をつけたのも特徴だ。
景気条項に追加された修正文は、経済政策の視点からみれば、国内経済が供給量に対し需要量が足りないという需給ギャップを、防災・減災など喫緊に対応が必要な施策にも投資できることを明示することで、内需拡大・需要増を公的投資でけん引する政策を打ち出した形。
19日、自民党が開いた「社会保障・税一体改革関連合同会議(野田毅社会保障制度に関する特命委員長、税制調査会長)の会合では、「自民党が提出した国土強靱化基本法案と関連する条項が追加されたのは、経済政策の視点として構わないが、日銀法改正など金融政策の視点が欠けている」などの指摘もあった。
一方、消費税引き上げに伴う検討項目として、建設業界が長年、業種による税負担の違いや二重課税問題で不公平税制として廃止を求めてきた「印紙税」についても、「建設工事の請負に関する契約書、不動産の譲渡に関する契約書及び金銭又は有価証券の受取書について負担の軽減を検討」する条項が盛り込まれた。
印紙税は、課税対象となった文書に課せられる税金で、課税文書の作成が納税義務を負っている。そのため建設業界では、元・下、下・下間の請負契約で課税されるため、重層構造による多重課税の問題と、建物賃貸借契約では既に課税が廃止されたほか、電子契約には課税されないなど不公平な税負担是正が懸案だった。
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部改正法案に新たに追加された修正法案
景気条項附則18条の2
税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。
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