現場力を引き出す / 日経BP

日経アーキテクチュアでは、総合コンクリートサービスの岩瀬文夫氏と岩瀬泰己氏による、ひび割れのないコンクリート打設の実践的手法を連載している。第3回目(2月10日号)では、現場の力を活用し高い施工品質を確保する方法を紹介した。以下はその抜粋だ。(日経アーキテクチュア編集部)


 前回までに解説した屋上を防水せずに済ませた現場でのことだ。「さっき言われたやり方と違うぞ」と、土間工がコンクリート工に注意している声が耳に入った。さっき言われたやり方とは、朝礼で示したコンクリートの打ち方のことだ。土間工が、コンクリート工の無造作なバイブレーター作業を見て誤りを指摘したのである。

  作業員の施工方法に対する理解を深めるとともに現場の結束を固めることができれば、たとえ監理が不十分でも現場が補ってくれることがある。今回は現場の力を引き出す方法を説明する。

 現場に配合や施工方法を周知

  筆者は、打設に先立ち、工事関係者を集めてコンクリート工事について説明することにしている。目的は、配合、型枠・鉄筋の組み方、打設方法を周知するとともに、工事関係者の品質への意識を統一することにある。

 作業員に図面を配り打設順序を説明(写真:岩瀬 文夫、岩瀬 泰己)

作業員に図面を配り打設順序を説明(写真:岩瀬 文夫、岩瀬 泰己)

                

作業員の力を引き出す

 密実なコンクリートをつくるためには、強力な振動力を有する口径50mmのバイブレーターによる充填作業、再振動締め固めや踏み固めなどの作業が欠かせない(「コンクリート講座」(日経BP社発行、日経アーキテクチュア編)を参照)。

 これらの普段行わない作業を実施してもらうためには、準備段階でそのやり方を周知徹底することが非常に重要になる。もちろんそうしたところで、すべての作業員が教えたことを即座に実践できるとは限らない。監理者が気付いたときに注意するだけでなく、作業員の間で注意し合えるような環境を築くことができれば大きな力となる。

プロジェクターで画像を見せながら打設方法を解説(写真:岩瀬 文夫、岩瀬 泰己)
プロジェクターで画像を見せながら打設方法を解説(写真:岩瀬 文夫、岩瀬 泰己)

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