産業廃棄物処理業の許可 / ECO JAPAN

産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託する場合、排出事業者は「産業廃棄物処理業の許可」を持った者に委託しなければなりません。

*条文中のカッコ書きは一部を除き省略
   
                
産業廃棄物許可の取得難しい「積替え保管」

 産業廃棄物処理業の許可は、「収集運搬業」と「処分業」に大別され、さらに汚泥や廃プラスチックなどの品目ごとに分かれています。

 産業廃棄物処理業の許可の事務は、都道府県に加え、従来はすべての保健所設置市が担当していましたが、2005年の法改正により政令指定都市、中核市、一部の保健所設置市に変更されています(施行令第27条)。

 産業廃棄物収集運搬業の場合、注意しなくてはならないのは、事務所の所在地に関係無く、積み込みと荷下ろしをする両地域の自治体の許可が必要な点です。例えば、大阪府全域で産業廃棄物を収集運搬をするためには、大阪府だけではなく、大阪市や東大阪市、高槻市の産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。
(編集部注:2010年の法改正に伴い、47都道府県の産業廃棄物収集運搬業許可で済むような規制緩和が見込まれています。)

従って、多くの産業廃棄物収集運搬業者は、複数の産業廃棄物収集運搬業許可証を持っています。また、行きに商品や資材を運び、帰り便で廃棄物を運ぶケースも多いため、運送業者や建設業者などが産業廃棄物収集運搬業許可を付随的に取得しています。

 排出場所から中間処理施設や最終処分場まで直接運ぶことが困難な場合には、中継地点での「積替え保管」が認められることがあります(施行規則第9条の2第1項第6号)。しかし、保管場所で廃棄物が大量に停滞すると悪臭などの原因になるため、なかなか認められません。

 ただ、最近は鉄道や船舶を利用した廃棄物輸送も増えています。環境省は2005年3月25日付の通知(環廃対策発第050930002号)で、コンテナを利用した廃棄物輸送の積み替えについて規制を一部緩和しました。

 一方の処分業は、「中間処理」と「最終処分」に分かれています。こちらも品目ごとの産業廃棄物処分業許可が必要です。

 中間処理は、主に脱水、焼却、破砕などの減量・減容処理です。最終処分は、埋め立てと海洋投棄です。いわゆるリサイクル業は、一般に中間処理業だと理解されていますが、リサイクルが中間処理なのか最終処分なのかは、廃棄物処理法には明確に規定されていません。

 産業廃棄物処分業の許可を取得するためには、適正な処理施設や最終処分場を持つことが必要です(施行規則第10条の5)。また、多くの自治体が条例や要綱などで、近隣住民などからの同意書の提出を定めています。操業時間や県外廃棄物の受け入れなどを制限をしているケースもあります。

 環境省の2005年9月30日付の通知(環廃対策発第050930004号)では、中間処理業者が中間処理後の廃棄物を運搬したり、処分したりするには産業廃棄物処理業の許可が必要であるとの判断が示されました。従来、中間処理後の廃棄物は、中間処理業者が排出したものであり、それを運搬したりするのは「自ら処理」であるために産業廃棄物処理業の許可が必要ないと理解されていました。今回の通知は、処理業者にとって重大な解釈の変更です。

 循環型社会の形成において、廃棄物の選別や分解、有価物の取り出し、再利用が促進されることが必要です。しかし、現在の廃棄物処理法は、埋め立てされる廃棄物と再利用される廃棄物を区別することなく規制しているため、資源の有効活用が進まないという弊害が生じています。

 廃棄物処理業の許可は、専門知識や適正な施設を持つだけでは取得できません。欠格要件に該当しないことも必須条件です(法第14条第5項)。この欠格要件は、悪質業者を排除するために段階的に強化されてきており、多くの業者が許可を取り消されています。

役員の犯罪で許可取り消し

 欠格要件の審査対象は、廃棄物処理業者(会社)だけでなく、その役員や幹部、5%以上の株主や債権者などの個人も含まれます。役員などが、暴行傷害事件や環境関連法違反などによる罰金刑、交通事故などによる禁固刑以上の刑を受けた場合、欠格要件が適用され、産業廃棄物処理業の許可を取り消される可能性があります。

 個人的犯罪の場合は、刑が確定するまでに辞任すれば一般的には取り消しは受けませんが、不正行為をする恐れがあるとして取り消しの対象になる可能性があります。

 欠格要件に関する判例としては、産業廃棄物処理業者の役員が酒酔い運転で執行猶予付きの懲役刑判決を受けたため、許可を取り消された事案があります。この業者は、個人的な違法行為で会社の許可を取り消されるのは不当だとして行政処分の取り消しを求めましたが、裁判所は許可取り消しが適法であるとの判決を下しています(さいたま地裁2005年3月22日判決)。

 産業廃棄物処理業の許可の取り消しは、役員の兼任や株式の持ち合いを通じて、関連会社に連鎖する危険性があります。現在の欠格要件制度は複雑で広範すぎると思われます。
(編集部注:2010年の改正で連鎖に関する規制が緩和されました。)

 産業廃棄物処理業界では、欠格要件の連鎖を防ぐために分社化を進める動きがあります。しかし、廃棄物処理法違反を防ぐには、分社化よりもコンプライアンス経営の確立が重要でしょう。

 実態にそぐわなくなっている規制の一つに「再委託の禁止」があります(法第14条の14、上の条文参照)。いわゆる下請けの原則禁止です。

 しかし、現実には需要の変化や突発的な事故に対応するため、再委託が必要になることがあります。そこで、排出事業者の事前の承諾、再委託者との委託契約締結などの再委託基準を満たした場合には認めるとしています(施行令第6条の12)。

 再委託の禁止によって、排出事業者は複数の廃棄物処理業者と契約せざるを得ません。このため、多くの手間がかかっています。産業廃棄物処理業者にとっては、事業拡大を難しくしている側面もあります。

 一般の事業活動では、下請けの活用によって業務を効率化し、需要の変動に対応しています。リサイクル業や静脈物流についても、一定の規制緩和が必要であると思われます。

 大規模不法投棄事件には、無許可の業者だけでなく、許可業者が関与しているケースが多く、産業廃棄物処理業の適正化は重要です。

 その一方で、運送によるCO2削減やリユース・リサイクルの推進のためには、静脈物流を効率化する必要性も指摘されています。それには、悪質業者を排除するだけではなく、優良事業者の育成も重要です。

 環境省は現在、自治体による優良性認証制度を導入し、インターネットを通じて情報公開を進めた業者には産業廃棄物処理業の許可申請手続きの一部を省略するなどの特典を打ち出しています(施行規則第9条の2第3項、10条の4第3項)。

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