日経コストラクションは7月11日号の特集で、工事や業務の受注者が発注機関を評価する「発注者実力ランキング2011」を掲載した。国土交通省の地方整備局や高速道路会社、都道府県のなかで1位になったのは、阪神高速道路会社だ。
阪神高速は「技術力」と「マネジメント力」に対する評価でそれぞれ1位、「意欲」も2位といずれも高評価を得た。特に「技術力」は45点と、33点で2位の西日本高速道路会社を大きく引き離して断トツだった。
「旧公団時代のように事業量が多かった頃は、自然と現場で技術が磨かれて伝承されていったが、現場が減っている今は、技術力を高める機会を意図的に設けていかなければならない」と、同社技術部技術企画課の水野慎児主任は言う。
例えば、部署をまたいだ「3S点検」と呼ぶ相互チェックの仕組みを10年ほど前から導入している。3Sとは設計、積算、施工の頭文字から取った。導入のきっかけは、会計検査対策だった。会計検査を受ける部署に対して、別の部署の社員が会計検査院の調査官役となって検査のシミュレーションを実施するものだ。
年4回程度ある会計検査のたびに、社内の全部署から数人の社員を集めて、擬似的な検査チームを編成する。技術企画課の生田正洋課長代理(7月1日付で計画部計画調整課課長代理)は、「不適切な箇所を指摘するには、指摘する本人が技術に通じていなければならない」と話す。
3S点検は、技術力向上に加え、部署間の情報共有やベテラン社員から若手社員への技術伝承の機会にもなっているという。
阪神高速ではこのほかにも、若手社員の育成に様々な方法で取り組んでいる。入社5年目以下程度の技術系社員を、工事の自主検査や安全査察に同行させることもその一つ。設計や積算などの所属部署に関係なく、検査担当社員と現場に同行してできるだけ多く現場を見る機会を設けている。
受注者からの評価が高かった発注機関は、現場が減るなかで技術力を磨く機会を意図して設けたり、内外の提案を受け入れて業務改善に取り組んだりと、様々な工夫を凝らしている。日経コンストラクション7月11号特集では、阪神高速のほか、2位の岩手県や5位の中部地方整備局などの取り組みも掲載している。
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