省エネ住宅の普及を目指す住宅版エコポイント制度では、リフォームを考える人にとっては、窓の断熱改修をどうするかが大きな焦点になりそうだ。ガラスメーカーもサッシメーカーも新商品のPRに躍起だが、それぞれに長所も短所もあり、選ぶ側には見極めが必要になりそうだ。
「住宅版エコポイント対象商品 1万9800円から」――。東京・新宿のビックカメラには、炊飯器やホットプレートの売り場の向かいに、サッシメーカー「YKK AP」の内窓が展示されている。
今ある窓の内側に窓枠を新設して二重窓にし、結露対策に加えて防音や防犯性も高められるとアピール。エコポイント導入を機に、消費者にPRしやすい電器店で二重窓の良さを知ってもらおうと1月に提携した。
売り場で足を止めた東京都中野区に住む会社員男性(39)は、築30年以上の戸建てのリフォームを検討中だという。「冬のすきま風に悩まされていて、安く解決できる方法がないかと思って」
二重窓は、リフォームに制約のあるマンションで効果的だ。多くの分譲マンションでは、窓は管理規約で共用部分と定められ、ガラスを交換するにも管理組合の許可が必要だ。だが、内窓なら許可は不要。一方、リフォームの制約のない戸建てなら、1枚ガラスから、2枚のガラスの間に断熱用のガスを入れたり、光や熱を反射する金属膜を張ったりした複層ガラスに交換する方が費用を抑えられる。
一方、旭硝子など大手ガラスメーカー3社でつくる板硝子協会は、今あるサッシを利用して、1枚ガラスを複層ガラスに交換するのが販売戦略の中心だ。旭硝子の担当者は「1枚ガラスの内窓では、夏場の外気を遮り、日差しを弱めるには不向き」とアピールする。コストが抑えられるのが長所だが、古いサッシの中にはガラスの交換ができず、内窓の方が割安になるケースもある。
住宅トラブルの相談を受ける財団法人・住宅リフォーム・紛争処理支援センターの荻原邦光・相談課長は「窓のリフォームで解決したいのは結露なのか、夏の暑さなのか、騒音なのか。セールストークに惑わされず、依頼主が自分で選ぶのが鉄則だ。契約前にきちんと判断材料を提供できる業者を見極める必要がある」と話す。(歌野清一郎)
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