第三者技術者活用指針案 / 日刊建設工業新聞

 国土交通省は、国際的な発注・契約方式への対応強化や工事進ちょくの円滑化などを目的に導入する第三者技術者活用の運用ガイドライン案をまとめた。発注者の職員が行ってきた工事現場での監督・検査業務など第三者技術者が担う役割・業務範囲を明示。選定はプロポーザル方式で行うとして、その評価基準なども示した。契約変更が不要な設計変更は、第三者技術者が独自の判断で実施できるとしている。

                    
 国交省は5日開いた「国際的な発注・契約方式の活用に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)にガイドライン案を報告した。懇談会の意見を踏まえて今後、地方整備局と調整しながら契約図書案をまとめ、試行工事の選定に入る。ガイドライン案では、海外工事で広く用いられているFIDIC(国際コンサルティング・エンジニヤ連盟)約款の考え方をベースに、国内の土木工事での運用上の基本的考え方や契約・手続きのあり方などを示した。

                  
 通常は発注者の職員が行う監督・検査業務を第三者技術者が実施。監督業務のうち、工種の増減や内容変更、単価変更など、請負金額または工期に関する設計変更で契約変更が伴うケースは発注者の事前承認・報告といった手続きを必要としたが、契約変更が不要な設計変更は第三者技術者独自の判断領域とした。監督と検査業務の兼職は認めず、第三者技術者の業務実施体制の中で担当者を区分。専任の管理技術者のほか、現場常駐の監督業務担当、非常駐の検査業務担当の計5人程度のチームを編成することを想定している。

               
 第三者技術者の選定にはプロポーザル方式を採用。技術提案書の提出者の選定では、▽海外工事でFIDIC約款に基づく工事監理を第三者技術者として実施▽海外工事(FIDIC約款に基づくThe Engineerが位置付けられた工事に限定)の元請での施工▽海外工事での監理業務▽国内公共工事でのCM試行業務-など企業・管理技術者の経験に着目。提案書の評価では、監督、検査、契約約款に関する理解度を含めて特定テーマに対する技術提案の内容を重視するとした。第三者技術者制度の試行工事には総価契約単価合意方式を採用。工程表については、工期変更に関する契約変更請求を行う場合の根拠資料の一部とすることを明記した。

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