経審制度・契約約款見直しで議論開始 下請け保護を強化へ / 建設工業

 中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)の総会が22日、国交省で開かれ、入札契約制度の改善に向けた議論がスタートした。公共工事を受注する建設業者に義務付けられている経営事項審査(経審)制度の見直しと、建設工事標準請負契約約款の改正が大きなテーマで、中建審は今後、6月に開く第2回会合で新たな経審基準と標準約款改正の項目と方向性を議論。夏に開く第3回会合で経審の審査基準の改正案をとりまとめる。併せて改正標準約款も決め、関係者への使用勧告を行う。

 経審の審査基準の改正では、評価対象とする技術者の見直しや、法的整理で再生した企業に対する審査の取り扱いの見直しなどが柱になる。評価する技術者の見直しについては、現在は雇用期間を要件とせずに技術者数だけを対象に評価する仕組みのため、評点を上げるためだけの技術者の名義借りが行われやすくなっているとの指摘がある。工事の違法な丸投げなど行うペーパーカンパニーが、不正に高得点を獲得するのを防ぐ観点から、評価対象技術者を一定期間以上の恒常的雇用関係にある者に限定する方向で見直す。

 再生企業の取り扱いに関しては、債権カットなどで地域の下請企業などに多大な負担を強いた再生企業が、経審でのマイナス評価なしに再び公共事業に参入するのは不公平だとの批判が多いことを勘案。地域貢献などの評価点である「社会性等(W点)」のうち、「営業年数」を減じて評価する仕組みに見直す方向が提案されている。W点の取り扱いではこのほかにも、08年の審査基準改正時に自治体などとの防災協定を締結している業者への加点幅を拡大したが、審査項目の一層の拡充を求める要望が依然多いため、除雪作業の契約締結などを含める方向で検討する。

 約款の改正では、請負代金の変更方法の甲乙協議の見直しや、契約履行体制の合理化策としての現場代理人の常駐義務の改善などが柱になる。甲乙協議の見直しでは、現行の約款には請負代金の変更方法の具体的な規定がなく、両者間の協議(甲乙協議)に委ねられているのが現状のため、立場の弱い下請や労働者へのしわ寄せを防ぐ観点からFIDIC(国際コンサルティング・エンジニア連盟)約款を参考に、現場レベルでトラブルの未然防止と迅速な解決を図る中立的第三者の活用などを検討する。

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