緑や高齢者への配慮で容積率を緩和 / 日経アーキテクチュア

東京都は4月26日、特定の要件を満たせば建物の容積率などを緩和する、総合設計制度の運用方針を改定すると発表した。公開空地への緑の導入、住宅における高齢者や維持管理への配慮、住宅性能表示制度における省エネルギー対策等級などの評価項目を追加する。従来の公開空地の量に応じた緩和の比率を抑えて、新しい項目への取り組みを誘導する。今後、具体的な実施細目を定めて、2010年9月1日に施行する。

 都は総合設計許可の運用方針として東京都総合設計許可要綱を定めている。要綱を改正し、公開空地による割増容積率の算出式に、(1)緑化などによる空地の質、(2)住宅性能や高齢者住宅の整備、(3)建築物の環境性能による評価、の3つの項目を盛り込んだ。

 (1)については、周辺の緑との連続性や樹種の多様性などを評価の対象とする。(2)の評価では、耐火等級や維持管理対策等級、高齢者向けケア付き賃貸住宅の整備などを盛る。(3)は、業務系については省エネルギー法が定めるPAL(年間負荷係数)の低減率とERR値(設備全体の一次エネルギー消費量の削減率)で、住宅系については省エネルギー対策等級で規定する。

 公開空地の面積や形状による評価は、割増容積率を算出する際の重み係数を約2割低減した。従来通りの取り組みだけでは、緩和される容積率は減少する。

 外壁面の後退距離についても見直し、接地部で隣地境界線から2mのセットバックを求めた。「地域と調和した質の高い建築計画を誘導する。紛争予防にもなるのではないか」(改正を担当した東京都都市整備局建築企画課)

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