中国電力、鹿島、電気化学工業は、セメントの製造からコンクリートを硬化させて製品化するまでの過程で、CO2排出量を実質ゼロ以下にする環境配慮型のコンクリートを世界で初めて開発した。火力発電所が排出するCO2を、コンクリートに強制的に吸収させることで実現した。
開発したコンクリートは、水、セメント、骨材という一般的な材料のほか、CO2と反応してコンクリートを硬化させる特殊な混和材と石炭灰を使う。
火力発電所で燃料を燃焼させた後の排ガスを養生室に引き込んで、排ガスが含むCO2をコンクリートに吸収させる。水とセメントの水和反応に加え、CO2と特殊混和材の炭酸化反応で、コンクリートが硬化する。特殊混和材の使用により、セメントの使用量が大幅に減るので、コンクリートの製造に伴うCO2排出量は、従来製品の半分になる。加えて、排出量を上回る量のCO2を吸収させることで、製造時のCO2排出量を実質ゼロ以下にできる。
また、このコンクリートは、削減したセメントの代わりに石炭灰を使うので、火力発電所が排出するCO2の削減や石炭灰の有効利用につながる。強度などの性能は、JIS規格品と同等。
コンクリートは、セメントの製造過程でCO2が大量に発生することが課題になっている。
今後は、中国電力が建設中の福山太陽光発電所のPR施設に、この技術を使った舗装ブロックなどを採用するほか、コンクリート製品の大型化や採用できる製品の拡大を進め、事業化することを検討する。
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