西日本高速道路会社は11月30日、12月21日以降に入札公告を行う土木・舗装・PC橋上部工など15工種を対象に、地方公共団体以外では初となる最低制限価格を導入すると発表した。ダンピング防止等の独自対策「工事契約価格適正化制度」の導入から約2年半が経過し、厳格審査の対象となる適正契約基準価格(契約制限価格の75%程度)を下回った業者の約9割を排除するなど、一定の効果が表れてきたことから、現行の適正契約基準価格を最低制限価格として運用する。
07年4月に運用を開始した工事契約価格適正化制度は、単価表の合計金額(直接工事費+共通仮設費の一部)を適正契約基準価格とし、これを下回った業者には、低価格入札のヒアリング調査に加え、履行を立証できる証拠書類の提出などを求め、立証できない場合に無効とする仕組み。07年度から09年度上半期までの調査結果によると、発注工事722件のうち、105件が調査対象となり、入札参加者204社の約9割にあたる182社が無効となった。工事契約の適正化に寄与している反面、調査期間が平均30日、最長3カ月に及ぶケースもあり、入札参加者(配置予定技術者)の拘束や調査対象外落札保留者の辞退等の問題も発生しているという。
このため、調査対象者の約9割が排除となった調査実績に基づき、現行の適正契約基準価格を最低制限価格として運用することにした。下回った入札参加者は自動的に失格となる。対象工種は原則として土木・舗装・PC橋上部工・鋼橋上部工など計15工種。WTO対象工事のほか、遠方監視制御設備・交通情報設備など計11工種は適用外となる。
最低制限価格の導入に伴い、適正契約基準価格を引き上げる。算出方法を現行の「単価表の合計金額」から「直接工事費と共通仮設費の合計額」に見直すことで、契約制限価格(予定価格)の80%程度までが調査対象となる。基準を下回った場合、入札参加者の単価表または工費内訳書を新たに設けた工費内訳調査基準「直接工事費+共通仮設費の75%未満、現場管理費の60%未満」と照合。最低制限価格の適用工事では、いずれかの基準を下回れば無効、上回れば直接工事費と一般管理費のみを対象とした「簡易調査」を行う。
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