現場代理人の常駐義務を緩和へ / 日経BP

6月24日に開催された中央建設業審議会(会長:平井宜雄・専修大学法科大学院教授)の総会で、国土交通省は建設工事標準請負契約約款の改正の方向性を提示した。現場代理人の常駐義務の緩和と契約当事者間の対等性の確保が柱だ。

6月24日に開かれた中央建設業審議会(写真:ケンプラッツ)

 標準約款の改正は、前原誠司国交相が3月に下請け企業へのしわ寄せ防止に向けた取り組みの一環として打ち出した。中建審が作成する標準約款は、(1)公共工事標準請負契約約款(2)民間建設工事標準請負契約約款(甲)、(3)個人住宅などの契約を対象とする民間建設工事標準請負契約約款(乙)、(4)建設工事標準下請契約約款――の4つ。これらの約款を改正する。

 現場代理人の常駐義務の緩和は、兼務する工事の合計金額の上限など条件付きとする。公共約款に規定を追加する方針だ。国交省は、合計金額の上限を2500万円未満と想定。緩和するための条件としてこのほか、現場代理人との連絡体制の確保、工事件数の上限、工事個所が近接、発注機関が同一といった項目を例示した。

甲乙協議で「調停人」の活用を推奨

 契約当事者間の対等性確保では、公正・中立な第三者として「調停人」の活用を進めることを打ち出した。契約に関し、受発注者間の協議段階から調停人を立ち合わせることを推奨し、建設工事でのトラブルの未然防止、迅速解決を図る。国交省は約款改正で、協議段階からの調停人の活用を盛り込み、併せてモデル事業を実施。調停人の選定や権限の基準を作成する方針。将来は、調停人の活用を原則化する考えだ。 さらに、各約款の「甲」「乙」といった略称表記は力関係を想起させるとして廃止。「発注者」「受注者」などの表記に改める方針も打ち出した。

 民間約款(甲)は全般的に見直す方針だ。民間建築工事の請負契約で広く使われている民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款との整合を図る。

 このほか、公共約款に暴力団などの反社会的勢力の排除条項を盛り込む。各約款で、一括下請負の禁止など最近の法令・制度改正の内容を反映する。今後の検討課題としては、下・下間契約に関する標準的約款の整備、民間約款の適時見直しといった項目を挙げた。

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