厚生労働省は、建設工事現場の足場からの墜落・転落災害の防止措置の検証結果と今後の対応をまとめた。11日の有識者検討会に示した報告書案では、09年春施行の改正労働安全衛生規則と安全衛生部長通達で示した手すり先行工法などの防止措置について、検証結果から災害防止効果が高いと判断。当面は現行の防止措置の周知徹底を図るとともに、総合的な対策を推進する必要性を指摘している。今後、検討会の意見を踏まえて早期に最終報告書をまとめ、公表する予定だ。
検討会では、改正安衛則と部長通達で示した防止措置の普及状況やその効果を、09年度に発生した災害事例や関係団体へのヒアリングなどを踏まえて検証してきた。検証の結果、問題があった場合は手すり先行工法の義務化など対策の拡充・強化が必要となることから、建設業と仮設材メーカー・リース系業界団体の意見が対立していた。墜落防止措置の効果については、組み立て・解体時に足場の最上層からの墜落・転落災害が90件(09年度調査)あり、安全帯の不使用など安全措置が未実施または不十分だったのが6件、うち4件に労働者の不安全行動が認められたことなどから、同措置による災害防止効果は高いと結論付けた。
死亡災害29件のうち、組み立て・解体時の足場の最上層からの墜落・転落災害は14件あり、必要な資格を持つ作業主任者を選任し、主任者がその職務を適切に実施していた状況が認められなかったため、現行措置の徹底に加え、主任者の能力向上教育を推進することを求めた。このほか、足場の点検や、手すり先行工法などに関する検証結果でも、基本的には現行制度の枠組みの中で決められた項目・手順を厳守することで、災害防止効果が十分に期待できるとしている。
報告書案では、改正安衛則の防止措置を実施しても不安全行動などによる墜落・転落事故が発生するケースがあることから、労働者への安全教育や、組み立てがより容易で作業に支障を来さない足場機材の開発・普及など、業界全体で取り組むべき対策の方向性も示している。
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