■優良事業者が台頭 循環型社会を牽引
千葉市中央区にある千葉県産業廃棄物協会。県下の産業廃棄物事業者の会員数(2010年3月現在)は442社と、最盛期の4~5年前に比べ約1割減った。同協会会長で、廃棄物処理業専業大手の市川環境エンジニアリング社長の石井邦夫氏は「理由は廃業、転業」と推測する。
これを裏付けるかのように、産廃処理ビジネスの市場環境について、複数の関係者は「一昨年秋のリーマン・ショックを境に低迷を続けている」と指摘する。大阪府松原市に本社を構える老舗企業の国中環境開発社長で、全国産業廃棄物連合会会長を務める国中賢吉氏は「建設関連の産廃は半減、工業部門の産廃も30%減っている」と明かす。
◆「09年度4億トン割れ」
産廃の総排出量は年間4億トン水準で推移してきたが、「09年度の4億トン割れは確実」との観測が広がっている。不況の影響だけではない。中国などアジアへの工場移転のほか、温暖化対策の強化も背景にある。民主党政権が掲げた温室効果ガス排出量を20年までに1990年比で25%削減するという中期目標。これが排出事業者の自前の産廃処理を促している。
例えば、鉄鋼業界は製鉄工程で、高炉で使う化石燃料の代わりに、廃棄プラスチックを年間100万トン利用するサーマルリサイクルに取り組んでいる。市川環境の石井社長は「動脈、静脈のすみ分けが崩れ、従来のモノサシでは測れないようなことが起きている」と指摘する。
一方、産廃総排出量の減少は、排出事業者主導の「売り手市場」を形成し、収集運搬費や処理費は下落、産廃事業者の収益を圧迫する。「多少コスト高でも安心で安全な処理を選ぶ」という排出事業者も増えているが、収集運搬費の値下がりは、玉突きのように破砕・焼却・脱水などの中間処理費、最終処分費の下落に波及する。「処理費の中には2割ぐらい値下がりしているものもある」(市川環境の石井社長)ほどで、産廃だけでなく一般廃棄物も扱う同社の10年3月期決算は増収増益だが、産廃単独では減収減益の見込みという。
◆リサイクル50%突破
産廃処理業が1970年の廃棄物処理法の制定とともに誕生して今年で40年。市場競争は激烈だが、静脈産業としての価値は確実に上げている。日本全国で産廃紛争が起きた97年、当時の厚生省(現厚生労働省)で同法の改正を担当した全国産業廃棄物連合会専務理事の仁井正夫氏は「優良な業者が増え、事業者は随分変わったと思う。今は優良事業者が大手を振って歩けるようになった」と感慨深げに振り返る。
産廃総排出量のリサイクル率もここ十数年はほぼ、右肩上がりで上昇。07年度にやっと20%台に乗った一般廃棄物を尻目に、07年度には51%を超えた。07年度の最終処分量も総排出量の20分の1の2014万トンまで縮小。環境省産業廃棄物課長の坂川勉氏は「不況による排出量の減少もあるが、最終処分場の残余年数は7年まで延び、処分場不足の危機は脱した」とみる。一方で、不法投棄産廃の量も10年前の40万トン水準から、近年は10万~20万トンまで減った。
循環型社会への転換期において、産廃処理事業は確実に前進している。政府が国策としている3R(リデュース=廃棄物の発生抑制、リユース=再使用、リサイクル=再資源化)の中で、最も得意とするのが「産廃の収集、選別、リサイクル」(市川環境の石井社長)だ。
ただ、リサイクル品は割高となり、価格競争力が弱い。国や自治体はリサイクル品の購入を促す「グリーン購入法」や「認定制度」で政策対応しているが、十分とはいえないようだ。全産廃連会長の国中氏は「リサイクル品が率先して使用され、安定して生産できるように、さらに強固な支援体制をつくっていく必要があるのでは」と指摘する。
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産業界では製品の供給サイドは血液を送り出す「動脈」に、廃棄物の再資源化(リサイクル)は血液を心臓へ戻す「静脈」にたとえられる。その静脈の一角を占める産業廃棄物処理業の経営環境は景気低迷を背景に厳しいが、一方で悪質事業者が減り、多くの優良事業者が台頭するなど変貌(へんぼう)を遂げている。循環型社会推進の牽引(けんいん)役である産廃処理ビジネスの今と近未来を追う。(産業廃棄物取材班)
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【用語解説】産業廃棄物と一般廃棄物
産業廃棄物は事業活動に伴う廃棄物の中で、汚泥、動物糞尿(ふんにょう)、がれき類、燃え殻、廃油、廃酸、廃プラスチック類など施行令が定める20種類。年間総排出量は4億トン水準で推移。多い順番に、汚泥(44%)、動物糞尿(21%)、がれき類(15%)。これに対し一般廃棄物は産廃以外の廃棄物と定義され、家庭ごみのほか、オフィス・工場から出る紙・布切れなどのほか、店舗から出る残飯などの事業系一般廃棄物がある。年間排出量は5000万トン強。
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