国土交通省が、09年度に発注された同省直轄工事(8地方整備局の契約分)と47都道府県工事の平均落札率(速報値)をまとめたところ、都道府県発注工事の平均落札率は前年度より1・2ポイント高い89・4%となり、少なくとも8年ぶりに上昇したことが明らかになった。ダンピング受注の防止と工事品質の確保を図るため、国交省が地方自治体に対し、低入札価格調査制度の調査基準価格の引き上げなどを要請してきたことが効果を上げたとみられる。
都道府県発注工事の平均落札率の推移をみると、建設投資が60兆円を割り込んだ02年度の時点ではまだ94・7%の水準にあったが、その後の投資額の急減に従って03年度からは毎年度、数値が少しずつ低下。07年度には88・5%と90%を割り込み、08年度も引き続き88・2%と落ち込んでいた。
国交省はここ数年、数少ない工事の受注をめぐって行き過ぎた価格競争がまん延するのを防ぐため、ダンピング対策を実施。昨年度は都道府県に対し、中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)が改正した低入札価格調査の基準額モデルを参考に、地域の実情に応じて調査基準価格や最低制限価格を設定するよう求めていた。こうした要請を受け、北海道、鹿児島、栃木、神奈川、新潟、佐賀、長崎、宮崎、沖縄、福島、和歌山の11道県が最低制限価格を中央公契連モデルより高い水準に設定。これらが都道府県発注工事の平均落札率上昇に貢献したようだ。
国交省直轄工事の平均落札率も、09年度は前年度比0・3ポイント高い90・3%と3年連続で上昇した。同省は、調査基準価格を下回る入札を対象とした特別重点調査制度や、施工体制確認型総合評価落札方式の導入などを柱とする「緊急公共工事品質確保対策」を06年度に打ち出して以降、2度の調査基準価格引き上げなどを実施。これらの対策の効果が落札率の上昇に表れているとみられる。ただ、同省直轄、都道府県発注工事とも、落札率は上昇傾向にある一方で、調査基準価格に近いラインを狙う応札が増える傾向にあり、受注競争は一段と激しさを増しているとの見方も出ている。
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