今回の建設IT注目情報 ~三菱化学「ジオアシートPV」~
2010年4月から、改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律)が施行されます。年間エネルギー消費量が原油換算で1500klを超える企業は、「特定事業者」の指定を受け、企業全体で中長期的に年1%以上のエネルギー消費量削減努力が義務づけられます。
コンビニエンスストアなども、チェーン店舗全体のエネルギー消費量が1500klを超えると規制の対象となるので、エネルギー消費量を削減するために太陽光発電を導入する企業が増えるでしょう。
しかし、屋根の強度に余裕がないときは、大がかりな構造補強工事が必要になる場合もあり、太陽光発電装置以外の投資に頭を悩ませる場面もありそうですね。
そんな企業にとって、ありがたい製品が4月に三菱化学から発売されることになりました。
屋根用の防水シートと一体化した、太陽電池なのです。
この新製品は、「ジオアシートPV」というもので、アモルファスシリコン型薄膜太陽電池と樹脂製の屋根用防水シートを合体させたものです。屋根などの防水改修工事を行うついでに、太陽電池を設置することができます。
強みは重量が1m2当たり約3kgと軽量なこと。広い屋根へ設置するときも大掛かりな構造補強工事がいりません。また、柔軟に曲がるので曲面や凹凸のある屋根にも設置しやすいのが特徴です。
これまで、太陽電池の設置は、大手の住宅メーカーや電機メーカーが行うことが普通でした。同社では「防水シート」という製品カテゴリーの特色を生かして、さらに防水工事やメンテナンス、リフォーム専門業もディーラー網に組み込み、きめ細かな販売を展開していきます。
~建物の屋上や外壁を丸ごと太陽電池化~
さらに同社は、建築資材として既に実績の多いアルミと樹脂の複合板「アルポリック」に、アモルファスシリコン型薄膜太陽電池を一体化した「アルポリック一体型太陽電池」を三菱樹脂と共同で開発中とのことです。
加工性の高い「アルポリック」と一体型の太陽電池なら、さまざまな形状の建物の外壁にも、太陽電池を設置できます。今回、発売される「ジオアシートPV」と併用することで、建物を丸ごと太陽電池化することもできるのです。
環境性能の高い建物を設計するとき、建物の外周部からの太陽光による熱を防ぐ方法について、設計者はいつも頭を悩ませています。
このエネルギーが発電に使えるとなると、逆に有効利用するために壁の向きを工夫したり、壁の面積を多くとるために開口部の少ないデザインにしたりと、新しい設計の潮流が生まれるかもしれませんね。
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