100%自給可能な太陽光発電 / SankeiBiz

太陽光発電で得たエネルギーを水素に置き換え、新型の燃料電池を利用して効率的に電気や給湯用の熱を生み出す新しい自給システムを、同志社大の千田二郎教授(54)の研究チームが開発し、本格実験に乗り出した。こうしたシステムの開発は全国初といい、当面は家庭で使用するエネルギーの15%前後の自給率を想定しているが、同チームは「今後、燃料電池の開発が進めば100%のエネルギー自給も可能」としている。

 エコへの関心の高まりとともに太陽光発電も広がりつつあるが、共働き世帯など昼間に家族が外出する家庭では、太陽光パネルを設置してもバッテリーの設置費用などがネックとなり、効率的なエネルギー自給が難しい現状にあるという。

 同チームが開発したシステムでは、太陽光パネルで集めた電気エネルギーを、水道水を使って電気分解装置で水素に置き換え、ボンベに貯蔵。給湯や電気を必要とする際に都市ガスと混合させ、現在メーカーが開発中の個体酸化物型燃料電池(SOFC)で電気、熱エネルギーに変換する。

 実験は、京都府京田辺市にある同志社大エネルギー変換研究センター屋上の約20平方メートルで実施。住宅用太陽光パネルなどを使った小型システムで、約半年間データを集めるという。

 日照時間などを考慮すると、小型システムで、4人家族の家庭が1日平均で消費する給湯用などの熱と電気双方の15%程度にあたる1時間あたり2.8キロワットを自給できるとしている。

 今回開発されたシステムについて、大阪大学大学院の赤松史光(ふみてる)教授(機械工学)は「無公害の世界最先端の画期的システム。大型化すれば、住宅のほか都市部のオフィスなどでの普及も期待される」と評価している。

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