東京商工リサーチが8日発表した11年上半期(1~6月)の建設業の倒産(負債1000万円以上)は1696件(前年同期比2・9%減)で、上半期としては94年以来、17年ぶりに1700件を下回った。負債総額も2168億95百万円(22・2%減)と、上半期としてはこの20年で最も少なかった。上半期の倒産件数の減少は3年連続。負債が10億円を超える大型倒産は前年同期比45・4%減の18件にとどまり、負債総額も押し下げた。
倒産件数と負債総額の大幅減について、同社は、金融機関に借入金の返済猶予を促す中小企業金融円滑化法などの金融支援策が倒産を抑制してきたと分析。ただ、今後については、政策効果が一巡したのに加え、「東日本大震災に伴う建設資材の流通停滞などの混乱も影響して倒産状況が変わってきた」として、体力に乏しい小規模企業を中心に倒産が増勢に転じる可能性も指摘している。
上半期の業種別の倒産件数は、総合工事業803件(9・2%減)、職別工事業576件(1・9%増)、設備工事業317件(6・3%増)。「受注不振」が原因の倒産が全体の71・9%に当たる1221件(5・7%減)を占めたほかに、「既往のしわ寄せ」による倒産が202件(2・0%増)、「運転資金の欠乏」による倒産が104件(5・0%増)、「他社倒産の余波」による倒産が66件(1・5%増)となっている。
倒産企業を資本金規模別に分けると、1000万以上5000万円未満の企業の倒産が695件(8・0%減)、1億円以上の企業の倒産も6件と前年同期の7件から減った。都道府県別では32府県で減少。全国9地区別でも6地区で前年同期を下回った。一方、帝国データバンクが同日発表した11年上半期の企業倒産(負債1000万円以上の法的整理)集計によると、建設業の倒産は1535件(1・0%減)だった。
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